偽り夫婦【Kenshiro.K】 (ページ4)

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---川西side---

《賢志郎、話がある。》

そうオトンに連れられたのは嘘みたいに大きい屋敷で。
そこには厳格そうな男性と、何を考えているのか分からない女性の姿。

聞けばめちゃくちゃ有名な資産家さんらしい。

テレビとかネットとかには疎くて、俺が何の職業をしてるのかも知ってはいなかった。

あれやこれやと結婚することになったけど、
彼女はどこか他人事というか、物事に対して無関心と言うか。

結婚してからも仕事やら芸人仲間との飲みやらでずっとはおらんくても、
ふと家に帰った時に彼女がどんな人なのかが分かった。

ホコリひとつないキレイな部屋。親からの入れ知恵かゴミからなのか、冷蔵庫には俺の好きなお酒とつまみ。
いつも作られている2人分のご飯。

そんな彼女の一面を知ると、どんどん興味が湧いてきて。

結婚式とか興味あるんかな。好きな食べ物は？飲み物は？
趣味とかあるの？あ、結婚指輪…
気づけば彼女のことばっか考えていた。

《最近賢ちゃん上の空じゃない？どうしたの？》

今付き合っている彼女も、きっと俺が普通じゃ無いことには気づいとると思う。
それだけ、頭の中は彼女のことばかりで。

そう言えば俺、あの子の名前知らんやん。

色んな書類は全部彼女の家族に任せたから。