偽り夫婦【Kenshiro.K】 (ページ29)

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【まあ、2人が納得してるならもう任せるよ。
お前にあの時言われてな。色々気付かされた。
A、今までたくさん我慢させたな。賢志郎君と、お幸せにな。】

「ありがとうございます。」

あれから離婚届は撤回して、恋人として正式に結婚する事になった。

2人で家を見に行って、家具を見て。

そんな些細な事でも、この子とならめちゃくちゃ楽しい。

「どうぞ。」

『ありがとう。……うん、これやな。この味が落ち着く。』

「それは良かった。」

Aちゃんのご飯と、Aちゃんとの会話、ふわっと笑うその笑顔。

何度見ても飽きない。

『なあ、せっかくやしさ、結婚式せえへん？』

「いや、式なんてしなくても、賢志郎と居られるなら十分です。」

『Aちゃんらしい(笑)あれならお互いの友達だけでも呼んで小さいのでもええよ。』

「そんな…呼ぶ人居ないですし…」

『ん～…じゃあ、今は写真だけでもええねんて。Aちゃんさえアレやったら、どう？』

「でも…」

『あーもう。俺が見たいねん。Aちゃんのドレス。』

「賢志郎が言うなら…写真だけでも…」

『ふふっ(笑)ホンマに可愛い。』

「止めてください……」

出会った時はこんなに笑いあって話すとか、そんなレベルや無かった。

目を合わせて喋るのも微妙な関係からこうなるって誰が想像したやろうか。

でも、偽りから真実になってお互い言いたいことが言えるようになったし、思い切りバカになれる。

そんな小さい幸せが続いていく方が俺らに合ってるのかもな。