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最後の顔、ちゃんと見れなかった。
「うっ…ううっ……」
涙が止まらない。最後に、ちゃんと嫌われたかな。
最初こそ、あまりいい印象は無かったけど
お出かけする時はプランは絶対考えてくれて、
作るご飯は「美味い」って毎回残さず食べてくれて。
「もしもし…はい、先程。……はい。それまでに荷物をまとめておきます。」
荷物をまとめていると、嫌でも目に入る。
テーマパークでお揃いで買った被り物、賢志郎さんの為にと初めて着ていったワンピース。
初めて見て可愛いと思って取っておいたカフェの紙袋に
雑貨屋さんでお揃いで買ったキーホルダー。
「お嬢様、こちらは…」
「良い。置いておいて。それ以外を持って行って。」
ワンピース以外、持って行けなかった。
「では、行きましょう。」
賢志郎との思い出が詰まった家を出る時、止まったはずの涙が零れた。
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作者名：さっちゃん | 作成日時：2022年6月27日 21時
