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賢志郎さんから連絡が来て、とりあえずご飯の支度だけ済ませておく。
「あ、塩切らしてる…」
時計は21:00を指している。そこのコンビニなら開いてるかな…
「賢志郎さんが帰ってくるまでなら大丈夫かな。」
そう思い、財布だけを手に向かった。
「塩…これで良いのかな？」
普段使っている調味料とは違う物に興味が湧いて、
別に必要のない物まで買ってしまった。
「あ、これも買っておこう。」
賢志郎さんがよく飲むお酒とおつまみ。
《お会計1280円です。》
「あ、はい。」
《丁度お預かりします。》
へえ、こんなに買ってもこの値段か…
いい買い物した。
色んなところに行ってみるもんだな。そう思いコンビニを出ると…
《ちょっと…何でそんな離れようとするの？》
『あんま引っ付かんといてくれや…』
《何でよー。》
私の前を歩くやけにベタベタ引っ付くカップル。
いや、あれは賢志郎さんだ。
私には到底似合わない服装で、腕をからめて。
そこだけ明かりが点っているかのような笑顔で。
私と並ぶより何倍も映える。ザ・恋人同士って感じ。
人に甘えるって、ああいうのを言うんだ。
恋愛って、人を愛するってああいうのを言うんだ。
私は無心で家に戻った。
「可愛い…？バカバカしい。………嘘つき。」
頬を伝う涙。私、泣けたんだ。
今までが楽しすぎて忘れていた。
これは父のための策略結婚だったこと。
賢志郎さんに元々付き合ってる彼女さんがいた事。
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作者名：さっちゃん | 作成日時：2022年6月27日 21時
