3.気持ちに蓋を ページ3
.
Aが雷門に転校してきて一週間が経った。
予想通りクラスメイトからAへの興味は徐々に薄れていったが空野だけは変わらず声をかけてくれて、最近は彼女と行動する事が増えそれが定着しつつあった。
休み時間、二人で話していると視線を感じ何気なしにAがその方向に向くと、つり上がった猫目と目が合った。
向こうが『うっ、』というような表情をしてバツが悪そうに顔を反らす。
「それで……ん？Aちゃん狩屋くんがどうかした？」
「ううん、何でもない。…それで？その後どうなったの？」
「それがね！天馬ったらーー」
転校してきてからAは狩屋とよく目があっていた。だがその度にさっきのように目を反らされてしまう。
まともに会話もしたことがないのに、理由は分からないが苦手意識を持たれてしまったらしい。
何がいけなかったのだろう。ずっと笑顔でいた筈なのに
(何で嫌われたんだろう)
感じよくしていてこんなにあからさまに嫌われるのは初めての事だった。
.
嫌われたくはないが、人にはどうしても相容れない人種というものがある。
狩屋にとってAはそういうものなのかもしれない。
もうあまり考えないようにしよう。
そう決め、モヤモヤとした気持ちにいつものように蓋をした。
蓋をしたのに＿＿＿
.
「狩屋たちのクラス転入生来たんだよね？」
「来たけど…それがどうかした？」
「噂になってるんですよ、美人ですっごく頭がよくて女神みたいに優しい子だって」
「え？そんな噂たってんの？」
クラス合同の体育の授業中、体育倉庫から空気入れを持ってグラウンドに戻ってきたところ校舎の影で涼む狩屋たちの会話が聞こえ、思わず足を止めてしまった。
丁度お互い死角になっていて姿は見えないのだが…
(そのまま通りすぎるべきだったな)
今からでも走りだそうかと目の前のグラウンドでドッジボールをする空野たちを見つめていると、やけにクリアに狩屋の声を拾ってしまった。
「ふーん、俺はあの転入生いけすかないけどね〜」
聞いた瞬間。ぐっ、と喉がしまる感覚がして、脳の裏側がすぅ…と冷たくなった。と同時に
ガシャンッ！
「！」
突然の金属音にハッと我に返る。
Aが驚いて自分の足元を見ると、さっきまで持っていた空気入れが地面に転がっていた。
「今の何の音？」
「！」
Aは慌てて空気入れを拾い、逃げるようにグラウンドに駆け出した。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星ッ梅(プロフ) - 狩屋、すき、、、頑張って下さい！！ (2022年7月5日 21時) (
レス) @page8 id: 9b9f7196c2 (このIDを非表示/違反報告)
萩 果弥(プロフ) - ドライヤーさん» 返信遅くなってしまってすみません！コメントありがとうございます！す、好きだなんてそんな、ひぇ…すごく、嬉しいですっ…！ありがとうございます！ (2022年6月22日 23時) (レス) id: a7f18fe169 (このIDを非表示/違反報告)
ドライヤー(プロフ) - この夢小説超好きです…！応援してます！ (2022年6月13日 22時) (レス) id: b605031498 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：萩 果弥 | 作成日時：2022年5月23日 2時
