2.事実 ページ2
「こんにちわー」
シーズンが開幕して1ヶ月
にしてもAさんよく来るな
「お仕事なにされてるんですか?」
思い切ってそう尋ねた。
「これでも記者よ。あれ、言ってなかったっけ?」
まあ、納得だ。
どうやらメイン選手だけが、この取材について知らされてたらしい。
「仕事じゃなくてもよく覗かせてもらってるし、皆とはけっこう仲いいんだよ〜」
哲人さんのこと哲人って言ってたのはだからか。
「展征くんも早くみんなと仲良くなれたらいいね」
そういって、笑顔を浮べながら哲人さんのもとへ戻るAさん。
Aさんは本当に、太陽みたいな人だ。
練習が終わり、寮に戻る途中で忘れ物に気がついた。
まだ職員さんは解散時間じゃないので、走ってとりにいったら間に合うだろう。
球場には誰もおらず、がらんとしただだっ広い空間が俺を不安にさせた。
急いでロッカールームに向かうと、何やら人の話し声が聞こえる。
ばれないようにロッカールームの扉に身を潜めた。
「ちょっ哲人、こんなとこでダメだよ」
部屋を覗いてみると、俺のロッカーを背中にしてAさんが哲人さんに壁ドンされていた。
「ええやん、誰もおらんし」
甘い声でそう呟いくと、Aさんの首元にそっとキスを落とす。
「ひゃっ」と声を漏らすAさんには妖艶さこそなかったが、どことなく可愛らしかった。
「……もう、怒るよ??」
「それは嫌や。A敵に回すとチームがアウェイなるもん」
「じゃ、その手離して」
「……キスだけ」
「わかったから」
「ええん?」
Aさんが頷くと、暫くの沈黙の後、二人の唇は重なった。
初めは軽いものが、じょじょに深くなっていく。
見ているのは心苦しかったが、目をそらさずにはいられなかった。
好きな人が他の男とキスをしている
その事実が俺の胸をさらに高鳴らせた。
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作者名:山田 | 作成日時:2017年12月11日 20時