ナンパ【摂津万里】 (ページ5)

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いつつページ5

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夕飯前らしく慌ただしく食材が運び込まれたり人の出入りが激しかったりしてわたしが座っているのがそろそろ申し訳なくなってきた。

「あ、あの。ご迷惑じゃなかったらでいいんですけど、お手伝いしましょうか」

こげ茶色の優しそうなお兄さんは目を丸くさせたあとににこっと笑ってじゃあお願いしようか、と言った。

太一くん(そうやって読んでほしいと頼まれた)がさっきオミくんは料理が上手なんだよ、と言っていたのを思い出した。

この人がオミくんなのだろうか。

「えっと、オミくんですか？」

なんだかとても失礼な感じになっていないだろうか。
しかし他になんといえば良かったのだろう。

「太一あたりに聞いたのか？面白いなぁ……」

くつくつとしばらくお兄さんは笑っていた。
そんなに面白かっただろうか。

「伏見臣って言うんだ、名前」

「伏見さん？｣

「臣くんでいいぞ」

からかうようにそうやって言った。
意外と茶目っ気があるのかもしれない。

「あ、わたしは七野Aです」

「七野さんか」

「名前で大丈夫ですよ、わたしも臣くんって呼びますから」

よろしくな、そうやって言って笑った臣くんはやっぱり劇団員なんだなあって思うくらい顔がかっこよかった。