Rolling Days ～煩悩～２【S.S】 (ページ32)

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79、涙の雫ページ32

満月の綺麗な夜

私は一晩中泣き続けた‥‥。

拭っても拭っても

流れ落ちてくる涙の雫‥‥、

きっとこの涙は

枯れることはないだろう‥‥。

けれども

彼を突き放した事に後悔はない

彼は、あの大きな会社を背負って立つ責任がある

彼の背中には

何百人という社員の生活が掛かっているのだから

こんな所で躓いてる場合ではないのだ。

大丈夫。私は一人じゃないから

またいつか

彼に会うことが出来たら

その時は‥‥、

今のこんな顔じゃなくて‥‥、

一番いい笑顔で会えると良いな‥‥。

・

その翌日‥‥、

「おはよーございまーす！」

いつもより明るめに言ってみた。

「お前‥‥、何でそんな明るいんだよ」

出勤すると表情の硬い二宮さんがお出迎え。

「何の事ですか？」

「とぼけんじゃねーよ、昨日うちに‥‥」

「あの人とはもう、関係ありませんから」

「関係ねーって‥‥、んな言い方しなくても‥‥」

「だって、関係ないものはないんですから‥‥、仕方ないじゃないですか」

「あ、そ。じゃあ、お前クビね。翔ちゃんと何の関係もないだろ？そんな奴と働きたくねーから」

「そうですか‥‥、分かりました。今までお世話になりました」

期待した私が馬鹿だった‥‥。

二宮さんなら、彼に関係なくこの店に置いてくれると思ったけど‥‥、

やっぱり世の中

そう上手くはいかないわよね‥‥。