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『 んぅ … 』
「 やっと、起きた。 」
『 … 濱田さん? 』
気がつくと、私は大きなベッドに寝かされていた。
すぐそばには濱田さんが座っている。
水飲むやろ?、と彼はグラスを持ってきてくれて、
私もベッドからゆっくりと体を起こす。
ここは…
「 俺の家やで。 」
私の思考を読んだかのように、彼が口を開いた。
濱田さんの家か。
どおりでキングサイズのベッドも、ガラス張りの窓も、アンティーク調の時計も、
見るもの全てに覚えがある。
「 A、高熱で倒れてん。ほんまにびっくりしたわ。 」
力なく笑う濱田さんに、私はどれほどの迷惑をかけてしまったのだろう。
ここまで運ぶのも重かったに違いない。
自分のおでこを触ってみると冷えピタが貼ってあって、
ベッドサイドには解熱剤が置かれていることに気がつく。
『 薬も飲ませてくれたの? 』
「 おん。口移しでな。 」
『 ふぇっ!? 』
衝撃の事実に思わず変な声が出た。
そんな私の様子に彼は優しく笑う。
「 しゃあないやろ。A、苦しそうやってんもん。でも全然、起きひんし。 」
確かに体はすーっと楽になっていて。
これは濱田さんの看病の賜物に違いない。
『 ありがとう、濱田さん。 』
真っ直ぐ目を見てお礼を言えば、
ええよ、って彼はまた優しく微笑んだ。
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亜音(プロフ) - いつもお話読ませていただいてます。お人形のパスワード教えてください!お願いします。 (2017年10月1日 8時) (レス) id: d816671f76 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - いつも見させて頂いてます!ころんさんのお話大好きです!!お人形のパスワード教えてくださいm(_ _)m (2017年9月30日 22時) (レス) id: 6d41dc7f0e (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いています。お人形のパスワード教えて頂きたいです(´・・`)よろしくお願いします。 (2017年9月30日 14時) (レス) id: b78db68ed3 (このIDを非表示/違反報告)
もるもるさん(プロフ) - いつも素晴らしいお話でころんさんのファンです!よかったらお人形のパスワードを教えていただきたいです>_< (2017年9月30日 7時) (レス) id: 0890742c58 (このIDを非表示/違反報告)
はなりん(プロフ) - お人形のパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2017年9月29日 22時) (レス) id: ca17a500ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ころん | 作成日時:2017年7月29日 17時