大人ポイズンベリー【紫】

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濱田さんがいなくなって、

心にやってくるのはどうしようもない虚無感。









このスイートルームは、傷心中の女1人が過ごすにはあまりにも広すぎる。









ふと部屋を見回すと、自分の服がハンガーに掛けられているのか目に入った。









ちゃんとシワにならないように、丁寧に服は掛けられていて。









これを濱田さんがやってくれたのだと思ったら、なんだか笑みがこぼれた。









思い返せば、淳太くんの妻にアイスティーをぶっかけられたのも今日の出来事。









濱田さんのおかげでだいぶ安らいだものの、

散々な日だったなぁ。









彼がそばにいてくれたこととお酒の力が相まって、忘れかけていたけど、


1人になると、どうしても淳太くんのことを思い出してしまう。









彼は2年間も私と遊びで付き合って、

おまけに結婚までしていた。







正真正銘のいわゆるくず男。









今になってみればどうしようもない男だけど、

そんな男のことでも本気で好きだったのだからしょうがない。









それにしても、恋愛って難しいな。









本気になればなるほど、リスクは高くなって、自分が傷つく可能性も高くなる。









あの男に付けられた私の心の傷は、

思った以上に深いみたいで、





当分はまともな恋愛ができそうにないや。









いつか、完全に忘れられる日がくるといいな。









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今日はもう眠ろうと思って、大きすぎるベッドに潜り込む。









誰もいない部屋の中には気のせいかもしれないけど、

まだ微かに濱田さんの香りが残っている気がした。








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