検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:28,353 hit

3体目:十八番 ページ4

「 “ オレ ” の十八番を披露してやるよ」


と、言うと三人(二人と一匹)は喜んだ。カバンを開き、人形を二体取り出す。黒髪と金髪の人形。
優しくて、勇敢で、似合わない変なメイクをしたあの人のお話。

かちゃ、カタカタと、人形特有の音が鳴る。俯いて指に糸を繋ぐ。全部で10本、指の数と同じ。


「船長!遅いですよ!」「あ、人形芸見たことあるんだっけ?」と、頭上で会話する男ども。

船長ってことはコイツらは海賊か?マヌケそうな海賊もいるもんだな。


その騒がしさを一蹴するように「うるせー」と、一言。「船長」と呼ばれた男の声。


「…ッ!」


声を聞いた反射で顔を上げた。そこには目元にクマがある黒髪の少年。

知らない声、否、よく知った声だった。声変わりしているのか。だが、面影はある。

思わぬ再会で、急に喉が渇き心臓がどくどくと鼓動を速めた。

同時に殺人衝動が蘇る。血が疼く。


──ローを殺せ。


だめだ。


──「ローを、助けてやって、くれ」


あぁ、ほら。


アンタの言葉は呪いだよ。わたしの全てを蝕む。



「お兄さん達は海賊、なのか?」

「まだ。その予定だけど」

「で、この人が船長」

「キャプテンかっこいいんだよ」

「…そう、準備出来たよ」



立ち上がり、指から垂れた糸がピンと張り、二人を立たせる。少し、少しくらい、傷付けても良いよね?だって彼は私の殺したい人で助けなきゃいけない人。



「今からするのは海兵の青年と海賊の少年の話」



口角を上げて、明るいトーンの声で物語を紡ぐ。帽子を深く被っているから前はよく見えない。きっと、良い景色だろう。

だって。


「ッ!」と、息を飲み込んむ君の声が聞けたから。

あぁ、やっぱり君なんだね。

トラファルガー・ロー。

不治の病の男の子。可哀想な子。

恩人のあと人が愛した子。

わたしからあの人を奪った子。

4体目:傀儡師→←2体目:港



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:ONEPIECE , ワンピース
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ポン吉 | 作成日時:2019年10月5日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。