ヒロイン不在の乙女ゲーム【2】

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「ぐぁ"ぁ"、っ、くはっ、…っはぁっ」




『え〜』


　




痕が残らないといいな。
　


それぐらいの軽い気持ちだったのに、いざ降りかかってきたのは拳でも罵倒でも無く、男のうめき声だった。


Sellyさんが男を馬乗りにして顔が凹むくらい躊躇なくぶん殴っていたのだ。本当に見た目は可愛いのになあ。






　


　

lrn「はいはいどいてどいてー…っておい何事だよ」




『あ、緑茶じゃん。良いところに来ましたね』

lrn「せめて天然水であれよ」


終わってない？バーサーカーことローレン先輩がいつの間にか出来ていた人だかりを抜け、私達を交互に見た。

全てを察した様に。





lrn「あー…はいはいはいはい……」




『あの今顔ボコボコにされてる人ならざる者が元凶です』



lrn「だと思った。ソイツ前科あるし良い噂聞かんし」







説明をすることすら面倒くさく、何となく全部押し付けたらまさかの事実発見。前科あるんかい。




『……逃げて良い？』




全力で自分の顔の良さを引き出すと、ローレン先輩は自分の手で目を覆い、空を仰いだ。





lrn「はあ〜……マジで可愛いな……」


『知ってる』


lrn「もー！！少しの間だけ目瞑っといてやるよ！！」


『やりぃ』






来たのがローレン先輩で良かった。
チョロくて助かる。







『SellyさんSellyさん』
　



Selly「あ？」






殴るのをやめ、男の上半身を足で思いっきり蹴っているSellyさんの手を引き、走った。

するとSellyさんは驚いたのか可愛らしい目を見開いた。






Selly「おいどこ行く」





『屋上』
















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