チューリップ Ⅱ【七五三掛】 (ページ7)

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「お待たせ致しました」

わざとらしくそう笑ってカルパッチョを私の前に置く如恵留さん。

「ごゆっくり。帰る時そのまま出ていって大丈夫だから」

今日は人もまばらだ。

静かな店内に数人の話し声とカンカンという厨房からの音が響く。

ゆっくりと味わっていると、

『…海斗、さん』

通知画面にはしっかりとその名前が。

「会いたい」

シンプルにそう書かれただけ。

私からLINEしても素っ気ないくせに、時たまこうやってストレートに言ってくるのが、ずるい。

『急にどうしたんですか？』

「気分」

「暇だし」

『私の事暇つぶしだと思ってる』

「お前もでしょ」

淡白なやり取り。

トーク一覧に戻ると、ふと龍也さんのアイコンが目に付いた。

おやすみ、と送られたまま、既読を付けてない。

『会うだけなら、いーですよ』

『今外なので帰り顔出します』

それだけ。

生理だとか、適当に理由付ければいい。

「うん」

「待ってる」

あんなに噛み付いてくるくせに、変なところで従順。

あの死んだ瞳が頭をよぎる。

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