チューリップ【七五三掛】 (ページ48)

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「ちゃか？おーい、聞いてんの？」

「…あごめん、何」

風呂上がり、スマホを眺めながらぼーっとしてた。

最近どうも意識がある飛びがちな気がする。

タバコ、ヒナに減らせって言われたな。

「もーなんか最近ずっと上の空じゃん、あこれ飲んでいい？」

「いーよ…眠、」

目の前で冷蔵庫を開け閉めする元太は、高校の時の後輩。

別に接点があった訳でも無いけどなぜか懐かれて、春からは専門の後輩になる。まあ入れ違いだけど。

「…さては彼女、とか！」

「ちゃかモテるもんなー」

「今いねーって言っただろ」

ちょっと歳が違うだけでこんなテンションって変わるもんだっけ。

…実際正解に近いことを言ってくる元太は相変わらず勘がいい。

「彼氏彼女みたいな単純な関係じゃないから」

「ふーん、せフレとか？」

「…ませてんなほんと」

「まーね」

元太の飲んでるペットボトルのいちごオレ。

ヒナ用のやつだったんだけどなー。

「その子のこと好きになっちゃったーみたいな？」

「まあ、そうだね」

半分やけになりながらドライヤーをつける。

「告んないのー！？」

ドライヤーの音に負けじと声を張り上げる元太。うるさい。

「…そんなことしないよ」

ほんとの名前も知らない相手、って言ったら

さすがの元太も笑えないだろうな。

俺が知ってるのは、ヒナのカラダの中だけ。

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