チューリップ【七五三掛】 (ページ39)

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「いらっしゃいませ。ささ、入って入って！」

CLOSEの看板を通り抜けいつものように扉を開けると、カランコロンの心地いい音と共に如恵留さんのよく通る声が聞こえてくる。

いつもの席に通されると、大皿にいくつかのデザートが綺麗に並べられて出てくる。

「すげーー！ちょー綺麗じゃん！」

「でしょぉ？良かったねなかちん、」

如恵留さんがキッチンに声をかけると「まーね」なんて声が聞こえてくる。

確か、料理人さんのうちの一人で、如恵留さんたちと同い年くらいの人だ。
ランチの時間帯はいないから、話したことはないけど。

「春の新作で出そうと思ってるんだけど、…」

どうしても、人が出入りする度に気になってソワソワしてしまう。

如恵留さんや龍也さん含め10人くらいしかいない小さなレストランだからそうそうないとはいえ、何かある度に龍也さんじゃないかと思ってしまう。

「A、」

『おわっ』

さすがに見かねたらしい中村に腕ごと引っ張られて、持ってたフォークを口に突っ込まれる。

『…おいひ、』「まじ美味いよね、さすがだわー」

口の中に広がる、いちごの甘酸っぱさ。

思わず脳裏に浮かんだのは、やっぱりあの卑怯な瞳。

甘くてずるい、龍也さんの、。

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ダメだなほんとに。