チューリップ【七五三掛】 (ページ15)

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一人暮らしにしては少し大きい宮近さんの家は、色の少ないおしゃれな部屋だった。

「お腹減ってる？」

私の後にシャワーを浴びた宮近さんが濡れた髪のまま聞いてくる。自分は冷蔵庫からビールを出して飲み始めてる。

『こんな時間に食べたら太る』

「まあそっか。あんなお仕事してるくらいだもんね。普段から気使ってんの？」

『一応…あーでも、飲み物貰っていいですか』

「いいよ。好きなの取りな」

冷蔵庫を開ければ、典型的な一人暮らしって感じの中身。

『お酒しかないんですけど』

「あれ、マジ？じゃあ弱いの飲んじゃえば」

流石にそういう訳にもいかないでしょ。

「ヒナちゃんってお酒弱い？」

『未成年ですってば』

「けどなんとなく分かるでしょ」

『…強くは、ないです』

さっきだって、宮近さんのキスで酔いそうになってた。

何度か飲まされたことはあるけど毎回くらっくらして次の日中村に心配されるくらいには二日酔いが残ってた。

「…へぇ」

興味無さそうに呟いた宮近さんに、

次の瞬間、またキスされた。

ぢゅるっと耳を覆いたくなるような音を立てながら生ぬるくなったビールが口の中に注がれる。

今度はタバコじゃなくて、宮近さんの柔軟剤とシャンプーの匂い。

咄嗟にされておもわず飲み込んじゃった。焼けるような熱さが喉に溜まる。

油断してた。この人、こういう人だ。