チューリップ【七五三掛】 (ページ20)

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「あーあれも可愛いよ」

「ほら、絶対Aちゃんに似合うと思うんだけど」

「…やっぱ可愛い」

龍也さんは、すごく褒め上手。

しょっちゅうこんな言葉をくれるけど、わざとらしくなくてつい調子に乗ってしまいそうになる。

「いいよ、先お店出て待ってて」

『でもお会け…いや普通に私出しますから』

「じゃあ水族館の時これ着てきて。俺が見たいってだけだから、」

こんな台詞だってさらっと出てきちゃうから、

だからみんな龍也さんのこと好きになる。

『なんか、逆にすみませんでした…』

結局膨れ上がった荷物も全部持ってくれて。

「えー何が？笑｣

「俺、Aちゃんと一緒に居られるだけで楽しいから、こっちこそありがとうだよ」

シンプルに嬉しいと思ってしまう。

『…はい、』

空いてた方の手をまた繋がれる。

なんでこんなに優しいんだろう。

その時、目の前から歩いてきた人達の中に

「…龍也？」

龍也さんを見つけそう名前を呼んだ、綺麗な女の人。

「え、××知り合い？」「え、ねぇ、」

『…あの、りゅやさ』

そう口に出そうとした瞬間、ぐっと腕ごと引き寄せられてもっと強く指を絡める。

肩と肩が触れ合う。華奢に見える腕は案外硬い。

まるで、見せつけるような。

そんな態度を、龍也さんから取ったのが、

どこか嬉しくて。

『いいんですか、あの人』

「ただ顔見知りなだけだし」

それ以上は何も聞かなかった。

少なくとも、あの人より、私の方を大切にしてくれてる。

・

じゃあ、私の上って？いるの？

考えるのをやめた。

こういう所がガキだって言われるんだろう。