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「ほんものだよね、?」
私はなに分かりきったことを言っているのだろう。
間抜けすぎる。でもIQがただ下がるくらい驚いてしまっているのを理解して欲しい。
そして私は彼から出た言葉にまた驚かされることになった。
私はブルーロック前の印象が強くて、忘れてしまっていたのだ。当時とは変わった豹馬のことを。
“やっと会えた”
甘すぎる声で、ふわりと笑う。
予想とは違いすぎる言動に私の頭は停止する。
表情も声も意味がわからないくらい甘い。砂糖に蜂蜜をかけてるみたい。
私の知っている豹馬は無愛想で、全部の言葉にとげがあって、自分しか信じていないような態度をとるイメージ。
だから、私の馬鹿な質問に、馬鹿じゃねえのとか、当たり前だろとか、見てわかるだろとかを機嫌悪そうに吐くと思ってた。
胸焼けしそうな程甘い雰囲気に、私はただ立ち尽くしてしまう。そんな私の手を引いて、容赦なく距離を縮める豹馬。
分厚くなった胸板に私の体を預けてしまう。
香水の匂いに混じった、懐かしい落ち着く匂い。
これは確かに本物なのに、言葉と動きのせいで頭がバグる。
こっちは初恋こじらせてるのだ、やめて欲しい。
勘違いしてしまうじゃないか。
思い切り押し返しても、ビクともしない。
どうやらこの熱いハグを受け入れないといけないらしい。
「俺と結婚を前提に付き合って欲しい。」
抵抗を辞めた私の耳元で、追い打ちをかけるかのように呟いたこのサッカー馬鹿が何を言っているのか理解ができない。
結婚前提、?付き合って欲しい、?豹馬が私の事好きってこと??
何も言わない私の返事が聞きたいのか、一瞬緩まった腕から逃げる。
突然のことにびっくりしたのか、目がまん丸の豹馬を最後に、私は背中を向けて走り出す。
現役のプロサッカー選手、しかも
久しぶりの本気ダッシュを5秒も立たないうちに、止められた。
「俺一応、現役プロサッカー選手なんだけど」
知ってる。ちゃんと見てるし、なんならこの前ユニフォームも買った。
でも、あんなの逃げたくなるに決まってる、
会いたかった初恋の人が突然自分の家の前に現れて、突然結婚前提に付き合ってくれなんて信じられるわけが無い。
夢か、すごく意地の悪いいたずらだ。
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國神のダンベル
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作者名:iyu | 作成日時:2024年1月11日 6時