おれ、わんこ。

16 ページ16

@you



タイミング悪くガチャリ、と開いたドア。



変な寝癖をつけたりくが立っていて、悪気なんてなさそうな顔でお腹すいた。と言う。



確かに着替えるから開けないで、と言わなかったわたしも悪い。



でもだからって……





「ねえ朝ごはんはなあに？俺パンでもご飯でもどっちでもいい派だよー。あとねあとね、」





『見てわかるよね！？着替えてるんだよ！？座ってないではやく出ていって！？』





当たり前のような顔をして、ベッドの端に腰掛けたりく。



そして今じゃなくてもいいような要件をつらつらと話す。



視線は着替えようとするわたしに向けたまま。





「でていって……？おれおうちなくなっちゃう……？」





うるうると瞳をうるませ、唇をぎゅっ、と結ぶ。



やだよやだよ、とわたしを真っ直ぐに見つめるりくは、本物のわんこ。





『出ていって、ってあの、そういうことじゃなくって……えっと、リビングで待ってて？ね？着替えたいの。』





発した言葉を訂正すれば、安心したようなほんわかした表情に戻る。



なんだかわたしも安心して笑いかけるも、部屋から出る気配のないりく。





『りく……？』





「あっ、気にしないで？犬だからっ！」





『犬だけど犬じゃないでしょ……』

17→←15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す