RMPG's short story

Itsuki.F ページ34

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@Itsuki





『ほんっと助かる！樹、大好き！』





「……俺も、」





彼女の言う好きと、俺の言う好きは、意味が違う。



幼なじみで、なんの縁か、同じ事務所のA。



生まれた頃から、今の今までずっと一緒。



よく言う、腐れ縁みたいな関係。



漫画みたく付き合ったり、とかそんな話はなく。



まあ、俺は高校の時からずっと好きなんだけど。



って、それでも漫画みたいな話か、





『樹は彼女ほんと作んないよね、なんなの？ゲイ？』





「は？……まあそうかもね、はいはい」





こんなに近くにいるのに触れられなくて、



こんなに近くにいるのに伝えられない。



なにがどうやって、こんなに俺の心を苦しめるんだろう、



ってくらいに胸が痛む。



その痛みを消すためには、多分俺の気持ちを伝えるしか方法はなくて。



でもいざ言葉にして伝える、ってなるとなんて言えばいい？



好き、とか、愛してる、だとか。



そんなありふれた言葉なんかじゃ足りなくて、



もっともっと俺なりの愛を伝えたい。



こんな気持ち、初めてだからどうしていいかも分からなくて。





『えー、またそうやって適当にさあ。』





そんなのなにも知らないAは、教えろよ〜、なんて軽く肩をぶつけてくる。



もし、俺の気持ちをわかってくれる日がくるなら、



それまではこのままの距離感でいい。



何も変わらぬ俺たちでいい。



だからせめて、Aの心が折れそうな時は



俺が助けてあげたい。



だからまだ、幼なじみを演じてでもそばにいたいんだよ。



なんて、まったく気づいてないんだろうな。

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