RMPG's short story

Ituki.F ページ1

@you



恋とか愛とか、振り回されるだけだから。



そう思ってずっと避けてきた。



でも朝起きたら目に入った、



見知らぬ天井と綺麗な顔立ちの男。





『え、気失った……？』





記憶を何度たどっても、彼の名前を呼んでキスを求めたところで終わってる。





「うん、そんなに気持ちかった、、？」





横を向けば寝起き特有の少し掠れた声が聞こえた。



起きてたの、と言えば、今起きた、と寝返りを打ってわたしを抱きしめる。









お気に入りのバーに居たら、誘ってきた優しそうな男。



キミのこと、気になっちゃうかも。とわたしの太ももに手を置いて優しく見つめてくる。



でもごめんね、わたし、普通じゃないから。





『落ちないよ、わたし。』





そう言ってもしつこく飲み直そう、と誘ってくる男に嫌気がさした時。



右腕を引かれて、席を立たされた。



近づいてくる顔は男性なのにとても綺麗。



そんなこと思っていたら重なった唇。



ゆっくり離れて向き合うと、何故か運命、を思った。





「今までどこにいたの。ずっと探してたんだけど、」






そう言って彼はわたしを抱き寄せた。





「はやく会いたかった、」





覚えのない顔を、必死に思い出そうとするけど違う。



この人はわたしの古い記憶にいる人じゃない。



ほんとうは、今日は初対面。



なのに安心感のある彼に、気づけば引き寄せられていて、



でも不思議と身を任せようと思ったの。



多分、この時からわたしの冷めてた気持ちはリセットされた。



勝手にわたしの中に踏み込んできたのに、



根拠も何もないけれど、おかしいなんて分かっているけれど、





全てを捨てても彼といたい、





と思ってしまった。

.→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す