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『っ、………』
ぐらり。足がもつれて地面についてしまいそうになるのを、なんとか杖で踏ん張って持ち堪える。化け物を倒すと決めてから、一体どれくらいの時間が経ったのだろうか。
それなりに時間が経ったはずなのだが、目の前の魔獣はほぼほぼ無傷と言っても過言ではない状態だ。それとは正反対に、私の身体は魔力不足や魔獣から受けた傷のせいで瀕死寸前である。
指先は魔力不足で氷のように冷たくなっており、魔力不足特有の症状である感覚麻痺を起こしているのか全身が震えて力が上手く入らない。
でも、まだ終わってない。後一発くらいならいけるはず…。それでこの化け物が倒せるかはわからないが、諦めたらそこで試合終了だ。たとえ勝率が0.1%だったとしても、それに縋らない理由はない。
…絶対に諦めてやるもんか。
その一心で震える足に鞭を打って杖に魔力を注ぎ込めば、気持ちとは正反対にだんだんと視界がぼやけてくる。
嘘でしょ、私の身体もう動かないの…?
ダメだよそんなの。だって強くなるって決めたもん。この程度の敵にやられる訳にはいかない。何がなんでも、倒さなきゃ。ガクガクと全身が震えるのを無視し、もう一度魔力を杖に込めて振り下ろそうとした。
それと同時に、化け物が自分の身体を貫くようにして鎌のようなつま先を振るうのが視界に入る。何故か、その化け物の動きがスローモーションのように見えた気がした。
…これ、多分回避できないなぁ。
完全に魔力の切れた身体は、動こうとしなかった。
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千歳(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。素敵なお言葉を頂き大変嬉しいです。亀更新ではありますが更新頑張りますね! (2021年12月13日 9時) (レス) id: 1238bcdf67 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - コメント失礼します!これから物語がどのように進んでいくのかとっても楽しみです!更新頑張ってください! (2021年12月12日 8時) (レス) @page8 id: c741d9f668 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千歳 | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2021年10月30日 11時