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「きりやん!あの子起きた!?」


廊下からバタバタと足音が聞こえたと思えば、大きな音を立てて部屋の扉が開いた。もちろん、その音の主はぶるーくさんだ。きりやんくんが「お前、もっと静かに扉開けろよ…」だなんて呆れた声で小言を呟く。

それに応える余裕もなかったかのように、彼は私と目が合うと安心したような表情でこちらに歩み寄ってきた。




…あの、ぶるーくさんが。


『無事に起きました、よ…?』



私、さっきまでなんで話せてたんだろう。

そう、だって彼は私の憧れの人だ。魔法を上手く使いこなせない私とは正反対で、魔法に愛された人。…私とは、住む世界が違うような、そんな人である。

先程は緊迫した状況のせいでその意識も薄れていたが、今は命の危機もない。その影響で、認識することができてしまった。彼がそういう存在であると。


…話すのすら烏滸がましいと感じる程の人が、目の前で私の心配をしている?これは現実??



「は〜…、良かったぁ!!本当にごめんね?」

『あ、えっと、だ、大丈夫です!』


緊張する。粗相がないようにしなきゃと思うけれど、もう既に倒れたし、迷惑をかけてしまった後だ。もういっそのこと、ぶるーくさんとは何もなかったかのように過ごしたい。

彼の世界の中で、私はただの通りすがりの人間なのだ。ちょっと、というか壊滅的に魔法が使いこなせないだけの。…あはは、自分で言って悲しくなってきたなぁ。


「そっかぁ。元気そうで安心した!」

にこにこ、愛らしい笑顔を浮かべるぶるーくさん。ああ、優しいなぁ…。


『まあ、元はと言えば私が魔法をろくに使えないのが原因ですし…』


彼に心配をかけさせまいと、回らない頭で必死に言葉を探す。私のことを気にかけてくれることは嬉しいけれど、あまりにも申し訳なさすぎる。むしろ、早く彼の世界から消えて忘れ去られたいくらいだ。

だって憧れの人なんだもん。こっそり応援したり尊敬するくらいが丁度良いに決まっている。


「そこは大丈夫!!僕に任せて!」

『へ…?』

僕に任せて?ぶるーくさんの言った言葉の背景が理解できたなかった私は、ただただ彼の顔をまじまじと見つめる。そんな私のことなど露知らず、ぶるーくさんは私の両手をきゅっと掴む。そして、口元をご機嫌そうに緩め、にっこりと笑みを浮かべた。





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千歳(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。素敵なお言葉を頂き大変嬉しいです。亀更新ではありますが更新頑張りますね! (2021年12月13日 9時) (レス) id: 1238bcdf67 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - コメント失礼します!これから物語がどのように進んでいくのかとっても楽しみです!更新頑張ってください! (2021年12月12日 8時) (レス) @page8 id: c741d9f668 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千歳 | 作者ホームページ:http://urana  
作成日時:2021年10月30日 11時

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