君の記憶から、私は消える。【太宰治】【文豪ストレイドッグス】

挨拶 ページ4

身寄りのない私を見つけてくれて、此処がお前の場所なのだと言ってくれたのが、武装探偵社である。

大きく立派に構える探偵事務所は、今日も変わらない様子だった。


「お早よう御座います」


扉を開けながら、挨拶をする。
すると、バラバラではあるのだが、一人一人返事を返してくれる。


「お早よう御座います。Aさん！」


白い髪の青年。この子が敦君。


「お早よう…」


紅い着物の少女。この子が鏡花ちゃん。


「あ、お早よう」


ラムネのビー玉をカラカラと鳴らす男性が乱歩さん。


「あ、お早よう御座います」
「Aさん！御機嫌よう」


兄妹で、くっつき合って仲睦まじい谷崎君とナオミちゃん。


「あ、お早よう御座います」


麦藁帽子が特徴的の賢治君。


「ああ、お早よう。」


理想主義者の国木田さん。


そして。



「やあ、A。お早よう」



包帯が特徴的の太宰さん。


…善かった。皆覚えてる…。

胸をソッと撫で下ろす。


皆が一人一人挨拶を返してくれるのは、私の気を遣っての行動なのだろう。

自分は忘れられていないか。なら、あの子の事は如何か。

非常に優しい所だ。何よりも居心地が良い。
其の優しさに漬け込むように、私は日々を過ごす。


「A、はい此れ」


太宰さんが、近づいて来て何だ何だと思っていたら、資料の束を差し出された。
反射的に受け取ってしまう。


「手伝ってくれ給え」


「…又ですか。」


此れも、毎日行われる朝の会話。

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