貴方様がお隠れになるまで、 2 (ページ10)

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密会ページ10

真っ暗な王宮の中、袴を着た美しい女性が1人散歩していら怖いだろう。黒髪が風に揺れ、まるで幽霊のようだ。

A「……日本の東京はこんなに星は見えなかったなぁ」

王宮の玉の間に続く階段で、夜空を見上げながら過去と現在を思い出していた。確かに王騎様のことが好きだったが、そこまで身を焦がすほどの恋ではなかった。
自分の旦那であることを思い出し、こんなことを考えてはいけないと目を瞑った

しかし、もしも、もしも、王騎様が亡くなったら、自分はどこに行けばいいのだろうか？そして、自分の子供である藍はどうなってしまうのだろうか？

そんなことを考えていた彼女の耳元で、誰かが囁いた。

李牧「こんな夜に…風邪ひきますよ？」

勢いよく立ち上がり、後ろを振り向くと、李牧の姿があった。

A「李牧殿……何しに来たんです？」

李牧「拒否しないんですか？」

A「こんな夜中に私が叫んだらどうなることか。密会だと疑われる可能性もあるというのに」

李牧「確かにそうですね」

再び階段に腰を下ろし、李牧もAの隣に座った。

A『……旦那様が……王騎様が亡くならった……最近そのことをばかり考えるの』

救済したと私は思っているが……また何かで死ぬのじゃないか。
もう、救うなど考えぬ方がいいのか。

李牧「私の元に来ればいいのです。あなたの子供の藍も。」

A『藍はダメよ。あの子は王家の跡取りでもあるの。』

李牧「ではあなただけでも、」

A『無理ね。私は……王騎様が亡くなったら……お祖母様のところに行き、お祖母様に孝行するわ』

こんな先の話、今話してどうする。ため息をつき立ち上がり李牧に目線を向けた

A「私は最期まで王騎様の妻として、王藍の母としての厳格を保ちます。ですのであなたの所には行きませぬ。」

そう告げ、階段をおり寝床へと向かった。

誰かに、見られていたとは知らずに。

朝、春影のうるさい声で目覚めた

春影「奥様ぁぁぁぁぁ!!!!昨日李牧と密会なされたのですね？！！朝から専らこの噂で大変なんですよ？！！」

A『……昨日の会話聞かれてたかな？』

春影「密会は本当なんですね？！」

A『んなわけないでしょ馬鹿』

夜に読んでいた書簡を侍女の頭に叩きつけた

A「たまたま会って話し合っていただけよ。密会だなんてまぁ美化されたこと言っちゃって」

春影「美化ですって？！美化じゃありませんわよ！！子が生まれたばかりなのにこんな噂ｯｯ！」