ただいま ページ12
政「元々、お前と俺の婚約だった。なのにいきなり破談。
その後すぐお前と王騎の婚約が決定。A、お前はわかってないようだが、婚約を破棄された俺が1番悲しいんだ」
A『何を言うの。あの婚約に愛は一切なかった。なのにあなたが悲しい?今頃?なぜ?』
沈黙の間に聞こえるのは花時雨の音だけ
政「なぜだろうな、お前が…他人のものになった途端、愛おしく感じた」
A『何言ってるの』
湖から手を出してから立ち上がり政の頬を思いっきり叩いた
A『目を覚まして。あなたが愛すべきなのは__』
言葉が途切れた。理由は
A『…政、今すぐ私の手を離して。そして私の上から降りて』
政「言われて退くぐらいならこんなことしない」
A『じゃぁ何?ずっとこうしてるの?』
じっと目を見つめる政。納得したのか私の上から退き釣殿の手すりに腰掛ける政。
A『私だって、そりゃあなたと破談せず皇后の道を選びたかったのよ。でも父上と母君は許してくれない』
政「……ももいい。明後日は嵐と聞いている。今日中に帰るといい」
A『そう、わかった』
体を起こし古琴を持ち上げ釣殿からさった
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春影「奥様ー?もうそろそろ馬車が出発しますよ〜?」
馬車の簾から顔を出し私を待っている侍女
A『……私は早馬で行くわ』
春影「早馬…早馬?!何故ですか!高貴な奥方なのに何故馬に乗るのですか!」
侍女の焦った声
市女笠を被り馬に乗ると侍女が私の足を掴んだ
春影「私はどうしろと?!」
A『何日経っても構わぬ』
侍女の手を振り払い縄を引いて王宮を出た
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王騎「で、馬車にも乗らず帰ってきたと」
A『…だって藍が泣いてるかもしれないんですもの。
して旦那様…噂を知っておりますか?』
王騎「噂?なんですか?」
A『知らないなら大丈夫です』
早く帰ってきた理由。それは李牧との噂が回ってるかの確認。1度気になったら気になって気になって仕方ない
王騎とともに寝室に向かい、扉を開け部屋に入る
赤子の寝床に顔を覗かせると愛らしい顔と対面
王騎「なぜでしょうねぇ…全く泣かないんですよ」
A『いいことではありませんか。』
赤子を抱っこし両手で抱っこすると目を覚ました様子の藍
A『おはよう、藍。そしてただいま』
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作者名:ナタデココ | 作成日時:2023年11月23日 22時