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｢……(名字)Aさんですね？｣
『…はい』
｢私、音羽の上司の久我山といいます｣
久我山と名乗った男性から渡された名刺を受け取ると、大きく印刷された厚生労働省の文字。
『…私に、何の用でしょうか』
｢……実は音羽が厚労省を辞めることが決まりました｣
『え………？』
思いもよらない言葉に、何を言われたのか、一瞬私には分からなかった。
(尚さんが、厚労省を辞める……？)
そんなことあるわけがない、MERの正式運用を誰よりも願って、官僚と板挟みになりながらも必死に戦っている尚さんが厚労省を辞めるはずなんて。
言葉を失って立ち尽くす私に、久我山は我関せずに淡々と事実を告げる。
｢日本の医療を変える男が辞めるのは上司である私も実に残念に思っています｣
『……そんなの、嘘です。尚さんが辞めるだなんて、』
｢…いえ、本当です。彼は厚労省を辞めます。
……ただし、
音羽の婚約者である貴女なら、音羽を救うことができる｣
『……私が、ですか？』
｢MERのメンバーでもある貴女なら、チーフである喜多見さんの過去の事ならご存知でしょう。
空白の1年に彼が何をしたのか、それを教えてくだされば音羽は厚労省に残ることができるんです。
…彼は自分の地位や夢を犠牲にしてまで貴女やMERを守ろうとしている、それがどれ程のことか貴女なら十分に分かるはずだ｣
『……………っ』
喜多見先生の空白の1年。誰にも知られてはいけない、MERのメンバーだけが知っている彼の過去。
目の前にいる久我山がわざわざ私に聞いてくるということは、同じく理由を知っている尚さんからは本当の事を告げられなかったんだろうということは理解できた。
その理由はただ1つ、全てはMERを守る為。
自分の地位とMERを天秤にかけて、彼はMERを守る道を選んだ。
…たとえ自分で叶えられなくなってしまったとしても。
それなのに、昨日倒れる前に語った赤塚知事の想いも、喜多見先生の患者の方々へ想う気持ちも、何よりも尚さんが実現したいと語った夢を、私が勝手に自分のエゴで尚さんを守る為に喜多見先生の過去の話を差し出すなんて、到底できるわけがない。
(…そんなこと、尚さんが望んでるはずがない)
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わたあめくん． - 初コメ失礼します。シリーズ最初から読ませて頂きましたが本当に最高で、音羽先生にきゅんきゅんしてました笑 (11月24日 4時) (
レス) @page27 id: 7aa406fe61 (このIDを非表示/違反報告)
mado(プロフ) - HATHUTAさん» コメントありがとうございます、1から読んで頂いてとても嬉しいです！中々本編の内容も絡ませるじ時間が掛かるのでお待たせさせてしまいますが、更新したらまた読んでいただけると嬉しいです！ (5月5日 19時) (レス) id: e39e19aa29 (このIDを非表示/違反報告)
HATHUTA(プロフ) - 初コメ失礼します。シリーズ最初から拝読させて頂きました。音羽尚にキュンキュンです！！大変かと思いますが更新楽しみにしてます！ (2023年5月4日 18時) (レス) id: f9b555f004 (このIDを非表示/違反報告)
mado(プロフ) - severusさん» お話読んで頂きありがとうございます。音羽先生のかっこよさが伝わって嬉しいです！これからもヒロインとの絡みはたくさんあるので更新したらまた読んでいただけると嬉しいです！ (2023年5月2日 23時) (レス) id: e39e19aa29 (このIDを非表示/違反報告)
severus(プロフ) - ドラマの再放送からどハマりしてこちらに来ました。喜多見チーフ推しでしたが音羽先生が最高です‼︎更新を楽しみにしています。音羽とのイチャイチャも楽しみにしながら応援しています。 (2023年4月29日 0時) (レス) @page18 id: 06ad0750c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mado | 作成日時：2021年9月11日 22時
