旋律(気象系/J×N) (ページ10)

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訪れた打ち合わせの日
これで、映画の方向性が決まる
大人が好きな売上ってやつも
なにより、楽しみにしてる自分がいた
彼に会えるんだって
胸がやけにうるさく鳴っている気がした
…駄目だ、仕事だ
ちゃんとしろ、自分

ーおはようございます、松本先生
見たことのない顔がそう告げた
差し出された名刺
そこには、松本潤担当編集の文字
担当が、変えられたらしい
…おそらく、俺が他に流れないように、だろう
映画化された作品の著者
大分、稼ぎ頭になるだろうから

いつもの編集社と違って見える
俺と担当さんしかいない広い空間
いつものブースじゃなくて
だだっ広い打ち合わせ室
…やだな
これじゃ、売れっ子作家みたいじゃないか
んなたいそうなもんじゃないのに

ぐっと力を入れて椅子を引いて
恐る恐る腰を浅く下ろして
ただただ、待つ
監督さんと、スタッフさんが全員揃うまで
待つだけ
暇だ
でも、待たなきゃならない
一応原作者な訳だから
この映画の主軸なんだって
前の担当の人が言ってた
プロの仕事の１つだ
待つ、それが仕事

暫く経ったように思う
ドアが開いて見たことない顔が覗いた
…誰だろうか
ー映画の打ち合わせ、ここですよね
すっと横に立った彼にそう聞かれた

瞬間分かった
この人が、俺が惚れ込んだ人
俺を離さなかった旋律を生み出した人だって