傷跡 ページ11
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五条side
高専に戻る車内。
僕と名前は後部座席に乗り込んだ。
任務終わりに無理矢理連れて行ったからか名前は隣で船を漕いでいた。
五条(…………こういうとこは子供っぽいのにな。)
窓から入る外の光が名前の顔に所々当たる。
整った小さい顔、影を落とす長いまつ毛、血色のいい唇。
金髪なのも相まってすごく綺麗に思えた。
五条「っと……」
車の振動で倒れかけた名前の肩を支えて自分の方に引き寄せる。
名前『ん…………』
トンっと僕の肩に名前の頭が当たって少し身じろいだ。
五条「寝てていいよ。着いたら起こすから。」
僕がそう言うと聞こえてたか分からないが名前は僕の肩に頭を預けたまま再び瞼を閉じた。
五条(…………あぁマズイな…)
腕からじんわり伝わる体温。
視界の端で揺れる金髪。
さっきの笑顔といいこの寝顔といい、結構クる。
そんなことを考えながら名前に目を落とすと制服の首元から鎖骨が覗く。
五条「え……」
そこには大きな傷跡があった。
五条(なんだ……この傷、)
恐らく心臓の上の位置あたりまで伸びているであろう傷跡。
適切な処置がされたとは思えないものだった。
高専に入学してから、名前は硝子の世話になったことがない。
つまり怪我をしたことがない。
そうなるとここに入る前にこの傷は出来たことになる。
しかもこの子に傷を入れるなんて相当…………
五条「……考えすぎか。」
グルグル回り出した思考を断ち切って僕はまた窓の外を見た。
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作者名:あおい | 作成日時:2021年2月25日 17時