37話 ページ39
貴「んー…えっと……まぁ」
曖昧な言葉を漏らしながら、ベッドの上で仰向けになると彼は「コーヒーが溢れる」と言って半分ほど中身の減った俺の缶コーヒーを奪うと、平然とそれを飲み干してしまったので思わず笑ってしまった。
イ「…で、どうなんだ？」
イグニスの持っていたコーヒーの缶はもう既に空だった様で、空になった２つの缶が綺麗な放物線を描いてゴミ箱の中に消えていった。
流石に飲むの早すぎないかと若干引いたものの、特に気にする様子もなく寝転がったままでいると、まさかまさかのイグニスも隣に寝転がってしまった。
貴「え、珍しい……っていうか懐かしい？」
イ「ああ、幼い頃はたまに一緒に寝ていたこともあったな…………それと、お前はこうやって2人きりでベッドに潜って寝るときはいつもより素直になるんだ」
貴「なにそれ知らないんだけど」
イグニスの方に顔を向けると、近くにイグニスの顔があり『綺麗な顔してんなー』と腑抜けたことを思ったが、それと同時に幼かった頃の彼の顔も重なり、『あ、そんなに変わらないか』とすぐに自己解決した。
イ「昔は意地っ張りだと思っていたが、お前は全くと言っていいほど自分の気持ちを伝えようとしなかったからな…」
イ「でも、それは間違いであって、昔のお前は極端に感性に欠けていて、感情というもの自体がどんなものかもよくわかっていなかった」
急に昔の事を話されるのも気恥ずかしくはあったが、イグニスの言うとおりだなと過去を懐かしむ様にそのまま耳を傾けたままでいた。
イ「それでもこうやって……2人きりで寝るときは『悲しい』『辛い』と簡単な言葉ではあるが、話してくれたのを覚えている」
貴「うわー…21歳で成人してる今の俺にそんな笑顔で過去のエピソード語っても、恥ずかしい以外の言葉が思いつかん」
イ「フ、そうか？」
そう言ってまた微笑んだイグニスに何も言えなくなり、少しの沈黙が俺たちを包んだ。
貴「………俺は＿＿＿＿＿＿怖いよ。
あの男のこと。なんでかはまだよくわからないけど」
掠れた声でポツリと呟くと、イグニスは「そうか」と一言 返して俺の頭に手を置いて目を閉じた。
イ「…やはり、こうすると素直になるんだな」
貴「おい、待て。嘘だろ」
今までの昔話の流れは俺にこれを吐かせるためだったのかと気づけば怒りを通り越してもうなんだか呆れてしまった。
貴「もう不貞寝する」
イ「ああ、いい夢を」
満足そうに笑うイグニスを放って目を瞑る。
そして彼は昔のように俺の額におやすみのキスをして優しく包み込んだ。
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なかまる。(プロフ) - 彩さん» コメントありがとうございます！時間があるときに更新できたらなと思っておりますのでこれからもよろしくお願います^ ^頑張ります！笑 (2018年4月3日 1時) (
レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 最高です…!!!更新頑張って下さい！応援してます！ (2018年3月30日 15時) (レス) id: abb688805d (このIDを非表示/違反報告)
なかまる。(プロフ) - メンシスさん» お疲れ様でした！！やっと勉強から解放されたのでちょくちょく更新していけたらなと思います！ありがとうございます！ (2018年3月22日 1時) (レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
メンシス - 受験お疲れ様でした！これからも体に気をつけて更新頑張ってくださいね (2018年3月20日 21時) (レス) id: 6f164534c9 (このIDを非表示/違反報告)
なかまる。(プロフ) - チョコブラックさん» ありがとうございます。本当にありがとうございます。コメント本当に嬉しいです(*ﾟvﾟ*)少しずつでも文章力や語彙力を高めることができる様に頑張ります…！ (2018年3月17日 22時) (レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なかまる。 | 作成日時：2018年1月15日 0時
