35話 ページ37
ア「今日はここで休むか」
グ「おい、目的地はどうなったんだ？」
アーデンは車から降りて俺達を手招きした。
ア「焦らなくても逃げないよ」
イ「そういう答えは聞いてない」
多分 今のイグニスは誰が見ても苛立っているとわかるだろう。
いつもより声色が冷たく、溜息が混じっている。
アーデンは俺が苦手なタイプだが、それはイグニスにも言える事だった。
たまにプロンプトやノクトがふざける事があり、彼はやれやれといった様子で軽く咎めるが、そこには慈愛に満ちたものがある。
だが、この男に関してはしっかりとした核心のある話も、自分が何者なのかも、あらゆるものが秘密のベールに包まれており、ふざけた様に、嘲笑うかの様にはぐらかすのだ。
まさにこういうタイプはイグニスが滅法 毛嫌いするタイプだ。
プ「これさ 六人で旅行状態だよね」
ノ「ないわ」
貴「ないな」
こんな胡散臭いヤツと旅行なんてこっちから願い下げである。
グ「ひとまずテントを立てるか」
ア「いや悪いけどオレ、外 大嫌いなんだわ。
カネはオレがだすからあっちのモービル・キャビンで休もう」
グ「…だとよ？」
ノ「うーん…じゃ それで」
アーデンの提案にノクトはあっさりと了承してしまったのはきっと野営よりはマシと思ったからだろう。このお坊ちゃんめ。
ア「いいね なんか旅っぽい」
プ「旅 ですからね」
貴「…もう とっとと明日の支度をして寝ましょう」
不本意ではあるが、アーデンを含めて寝泊まりすることになってしまったので、早速 俺はキャビンの中に乗り込んだ。
残りのみんなは外の椅子に座って軽い雑談を挟む様だが、俺はできる事ならアーデンと関わりたくない為、キャビンの中の安っぽい2段ベッドに腰掛けた。
ギシ、と俺の体重で軋んだマットレスにそのまま身を投げ出し、上半身だけは完全に仰向けに寝そべる。
貴「はぁ…あいつとだけは2人きりになりたくないな」
おもむろに左手を天井に翳して、手首に纏わりつくリストバンドを見る。
そして、そっと金具のボタンを外した。
貴「……ハ、」
……………呪いの様だ、と思った。
どんなに深く、どんなに多くの傷をつけても＿消えない黒いただの暗号。
何度も消そうとして、傷をつけすぎてしまって、俺の手首は茶色い傷跡と赤紫の瘡蓋ばかりで＿＿＿＿『嗚呼、なんて汚いんだろう』ってそう思った。
貴「……怖いなぁ、あの人」
そんな俺の独り言は乾いた空気の中に消えていった。
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なかまる。(プロフ) - 彩さん» コメントありがとうございます！時間があるときに更新できたらなと思っておりますのでこれからもよろしくお願います^ ^頑張ります！笑 (2018年4月3日 1時) (
レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 最高です…!!!更新頑張って下さい！応援してます！ (2018年3月30日 15時) (レス) id: abb688805d (このIDを非表示/違反報告)
なかまる。(プロフ) - メンシスさん» お疲れ様でした！！やっと勉強から解放されたのでちょくちょく更新していけたらなと思います！ありがとうございます！ (2018年3月22日 1時) (レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
メンシス - 受験お疲れ様でした！これからも体に気をつけて更新頑張ってくださいね (2018年3月20日 21時) (レス) id: 6f164534c9 (このIDを非表示/違反報告)
なかまる。(プロフ) - チョコブラックさん» ありがとうございます。本当にありがとうございます。コメント本当に嬉しいです(*ﾟvﾟ*)少しずつでも文章力や語彙力を高めることができる様に頑張ります…！ (2018年3月17日 22時) (レス) id: e75acdb4c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なかまる。 | 作成日時：2018年1月15日 0時
