今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,944 hit
小｜中｜大
ラニ・ラマヌジャン ２ ページ5
インドには帰りたくない、そう駄々を捏ねたことに両親は驚いていた。何故驚いているのか、その当時それなりに幼かった私には理解できなかった。
日本はとにかく過ごしやすかった。四季折々に表情を変える風景は都会だったので実感し辛かったものの、インドよりは遥かにはっきりしていた。お祭り、というもので屋台にあった「りんご飴」がすっかり好きになった。プリパラ、という両親が教えてくれなかった面白いシステムも覚えた。
そして何より、ここではインドのカーストは通用しない。私の苗字を見ても誰もかしこまらないし、逆に見下したりもしない。それなら例えばアメリカでもカーストは通用しないだろうけれど、代わりに肌の色でとやかく言われるだろう。日本人はそういうところは寛容だ。もちろん、それ以外も。
カーストが良いものか悪いものか、なんて話はするつもりはないけれど、少なくとも私にとって多少なり窮屈なものだったのは確かだ。その窮屈さから解放されていたい、という衝動は、私をプリパラに通わせたし、いつまでも日本に居られるよう駄々を捏ねさせた。
運命なんてそんなものだよね、と私は、両隣にいるチームメイトに聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
作品のジャンル：アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜野ユウ | 作成日時：2018年10月15日 22時
