【AKB0048】永遠の777

フルーツスノウ ページ7

「ふええええ〜」「ぎゆう……」「あかん、酔った」

体感したことのないスピードに、変な声が飛び交う。雫は窓の外を見たが、星空ではない虹色の空間に驚いた。どうやって移動しているんだろう？

やがて、ふっとスピードが緩まった。外も普通の星空だ。

『それでは、セレクション審査の説明をします。スタッフの指示に従って移動してください』

そのアナウンスに、雫たちは動き出した。



「うわーお……」

50人は超えているだろうか、相当数の候補生たちに希望が感嘆の声を上げた。

アドレス交換をしたり、喋っていたり、中々な賑わいだ。と、雫の肩を誰かが叩いた。

「こんにちは！どこ出身ですか？」

「え？あ、えっと」

振り向いて驚いた。中性的な顔立ちの美少女だ。ポニーテールにきりりとした顔、やや紫がかった瞳。それに何より、一番気になったのは──見事な黒髪だ。真っ黒な、いわゆる濡羽色。

「札幌星出身です。朝日奈雫って名前で、14歳です。よろしくお願いします」

「私は風岡綾菜(かざおかあやな)。茉莉花星(マリカスター)出身の13歳です。よろしくお願いします」

(茉莉花星？聞いたことないけど……まあ、最近名前の変わった星もあるし、その中の一つなのかな)

そこに希望も加わる。

「木島希望です。阿蘇星(アソスター)出身の……12歳！よろしくお願いします！」

どうやら建前上12歳らしい。誕生日前ならおかしくはないけれど、逆サバだ。そして阿蘇星出身なことに驚いた。あそこは火山で有名な星で、そのせいで星全体が貧しいと聞いたことがある。希望もまた、貧乏だったのだろうか？

「へー……12歳」

(……希望ちゃんすごい綾菜ちゃんに見られてる。怪しまれてるのかな)

希望もそれを自覚しているのか、冷や汗をかいている。何でしょう、と希望が口を開いた時、誰かが壇上の扉から部屋に入ってきた。

「初めまして。私はAKB0048、支配人兼プロデューサーの片桐ツバサです」

「アナウンスの声の人だ……」

小さく呟く。それが聞こえたのかは定かでないけど、一瞬ツバサがこちらを見た、気がした。

「貴女達には、第78期研究生のセレクション審査を受けてもらいます。そして、選ばれた者だけが研究生となり、我々のホーム……00劇場のある秋葉星に来てもらう」

しん、と静まり返る。ここからはもう、戻れない。



「セレクション課題曲は『Beginner』。『Beginner』を歌って踊らせる事が、セレクション審査合格の条件となります」

Stage２　残念少女→← AKB参上！

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