フリしてマネして ページ27
「ねえ、なんで楚方のことむしするの?」
帰りのモノレールの、少し重い雰囲気の中で、楚方は希望に詰め寄った。
「はっきり言って、キライだからです」
「あう……」
楚方が一瞬俯く。彼方が止めに入ろうとしたが、楚方は顔を上げてもう一つ質問をぶつけた。
「どうして?」
「っ……『どうして』?『どうして』って言いました?そんなの、自分のむねに手をあてて考えればすぐわかるでしょ?」
希望は楚方に向かって、吐き捨てるように喋る。
「わかんない。おしえて」
楚方を見てぞくっとした。楚方は、テレビでは絶対に見せないようなきりりとした表情で、希望に向き合っていた。
「わかりました。じゃあ言いますね。一つ目、まだいる先ぱいメンバーの名前を『襲名したいメンバー』としてあげるのが相当無神経。二つ目、審査も受けずに不正して合格していること」
「のぞみもじゃん!」
「私はちゃんと審査受かってセレクション受けてます!ねんれいさしょーしかしてません!」
何の主張だ、と彼方が苦笑いする。「どっちもどっちじゃん」と友歌が呟いたが「何か?」「……何でもないです」なんて眼で黙らされた。迫力が違う。
「だいたい、何であなたは0048に入ったんですか?そうやって図々しく不正して入った理由は?」
「なっ……!」
「理由もないくせに早く入って、みんなの足を引っぱって。そういうの、もうしわけないとか思わないんですか?」
「じゃあのぞみはりゆうがあって入ったの?」
「もちろんです!」
そう言って、ふっと希望は俯いた。
「……私は阿蘇星で生まれました。阿蘇星はとっても貧しくて、のう作物がなんとか育てられるくらい、かん光客も来ない、……『死んだ星』です」
「えっ……」
「噴火のせいで電気システムとかが整びされてないのでテレビもないです。政ふ通たつすらもとどくのが一番おそいって。そうなるとどういう風にみんながなっちゃうか、わかります?何も感じない、喜どあい楽がなくなるんですよ」
「……」
「でもそんな中で、AKB0048だけが来てくれた。それで思ったんです。私があの中に入って、この星をアピールして、『生きた星』にしてみせるって。実は、火山のおかげで温泉がとっても気持ちいいんですよ。知らなかったでしょ?」
「うん……」
うなだれる楚方。誰もが、希望の怒りをなんとなく理解して、静かに息を呑んだ。
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皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» 今、更新された話を読みました(^ ^)めっちゃ!読みやすいです!こちらこそ、改良ありがとうございました!! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
桜野ユウ(プロフ) - 皐月さん» ちょっと改良してみました…やればできるもんでした。確かに、間隔をあけると自分でも読みやすいですね…ありがとうございました!(*^ω^*) (2017年12月31日 0時) (レス) id: e618dfe310 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» いい感じの改良をお願いします(^ ^)長文ごめんなさい。m(_ _)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» 間隔を空けることに関しては、そういう事になりますね。私は…なんですけど、少し間隔が開いていた方が読みやすいです。間隔が開いてないと、どこまで読んだのか分からなくなりますし…。けど、意見を押し付けるわけじゃないんで^^; (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» お返事ありがとうございます(^ ^)まさか、お返事がもらえるなんて思ってなかったので嬉しいです!希望のキャラクターの研究、お疲れ様です!その研究が、希望のキャラクターにちゃんと活かせてると思います!! (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜野ユウ | 作成日時:2017年12月8日 19時