PARTYが始まるよ ページ18
『会いたかった 会いたかった 会いたかった Yes!』
少し離れたところにあるライブ会場から、「会いたかった」が聞こえてくる。
「ライブ、始まったね……」
「うん。私たちの、セレクションも」
雫と希望は、同時に顔をそちらに向けた。
「本当は敵襲が無くて、訓練が無駄になるといいんだけど……そういうのは、無いだろうな」
奏が呟く。そういえば、と雫は思い出した。最初に会った時に聞いた覚えがある。奏は確か蕨星出身だ。蕨星はお金持ちの住んでいる星だったはず──それは即ち、芸能規制が厳しく政府に近いということ。奏はどうして、0048に入ろうと思ったのか?
遠くからはライブの鉄板曲「言い訳Maybe」が流れてきている。その妙に緊張感のないポップな音楽が、逆に雫を不安な気持ちにさせた。希望の言う「スパイ」がもし、奏だったとしたら……。
「ねえ、奏さん」
「ん?どうしたの?」
振り向いた顔は緊張できりりと締まっていた。それを削ぐようで申し訳ない気持ちにもなったが、
(聞かないと、わからないよね)
不安を残したままでは、きっとセレクションに集中できない。そう判断し思い切って聞いてみる。
「なんで、オーディション受けようと思ったのかなって」
奏はふふっと笑った。
「親の敷いたレールの上を、走りたくなかったから!」
その背後の空に、毒々しい光が見えた。
ツバサは手元の端末を見た。もうそろそろ、最後の曲に入る。
(今回は不作でしょう……)
最初から見えているセレクションだ。最終的に訓練に参加していたのは、半数だけ。しかもその中の何割かも、訓練へのやる気を感じなかった。前回が七人、前々回は八人。概ねそれくらいの人数が毎年研究生となる。今回は期待をほとんどしていなかった。──ある一つの要素を除いて。
「さて、『あれ』はどうなるのかしらね」
ツバサは独り言ちて、視線を送った。
綾菜は、未友の傍にいた。
「敵襲!敵襲だよ!」
希望の叫び声が聞こえて、周りの候補生たちも一斉に動き出す。綾菜自身も上手く身を隠しながら攻撃できそうなところを移動しようとして──足を止めた。
未友が、動いていない。
「未友ちゃん、移動しないと
声を掛けるも、どこか遠くを見ていた。
そして、右手を地に向かって指し、それを下から上へゆっくりと天に向ける。
「……In your」
未友の呟きと、
「position」
ツバサの叫びが、
「「……set!」」
重なった。
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皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» 今、更新された話を読みました(^ ^)めっちゃ!読みやすいです!こちらこそ、改良ありがとうございました!! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
桜野ユウ(プロフ) - 皐月さん» ちょっと改良してみました…やればできるもんでした。確かに、間隔をあけると自分でも読みやすいですね…ありがとうございました!(*^ω^*) (2017年12月31日 0時) (レス) id: e618dfe310 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» いい感じの改良をお願いします(^ ^)長文ごめんなさい。m(_ _)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» 間隔を空けることに関しては、そういう事になりますね。私は…なんですけど、少し間隔が開いていた方が読みやすいです。間隔が開いてないと、どこまで読んだのか分からなくなりますし…。けど、意見を押し付けるわけじゃないんで^^; (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 桜野ユウさん» お返事ありがとうございます(^ ^)まさか、お返事がもらえるなんて思ってなかったので嬉しいです!希望のキャラクターの研究、お疲れ様です!その研究が、希望のキャラクターにちゃんと活かせてると思います!! (2017年12月30日 22時) (レス) id: 1dab25db87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜野ユウ | 作成日時:2017年12月8日 19時