もういい 夏油side ページ38
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夏油side
私、悟、硝子、七海、灰原…皆がその屋上に集まった。
私たちがいるのは気付いているはずなのに、Aは背を向けたまま…
サーッと風が吹いて彼女の綺麗な髪が靡く。
そして、ゆっくりと振り返った。
『みんな…久しぶり』
「っ、」
久しぶりに聞いたAの声に胸が締め付けられる。
月明かりに怪しく照らされたAの表情は、以前とは異なり、陰りを帯びていた。
「A…」
私も皆も、他の言葉が出てこなかった。
Aと会ったら、大丈夫だよって安心させてあげたかったのに。
心配してたと言いたかったのに。
なのに、なんで…
…
その沈黙を破ったのはAだった。
『…失望した?』と、眉をへの字に曲げ、まるで何かを諦めたかのように笑う。
「「「「「っ!!」」」」」
「してないよ」
『…っ、』
それは、口をついて出てきた。
…してない。
してるわけないよ、失望なんて。
「だから、安心して…」
『…っ、』
「っオマエ…何勝手なことしてんだよ」
悟のそれは心配や切なさから出てきた言葉なのは明らかだった。
『…ははっ…ごめん…最初がミスったかもな。
"Hide"使ってれば帰れたかもしれへんのにな…』
「…帰れるよ。
A…私たちは何も変わらないから…だから、帰ってきな」
そう震える声で言った硝子にAはゆっくりと横に首を振った。
「どうして…?
A…あのことは、きっと私たちがなんとかする。だから…!」
『傑』
「…っ、」
『みんなが失望してなくても、変わらんくても…きっと上は見逃さへん…
それに、私自身が今まで通りでおられへんと思う。
だから…もういいねん』
「「「「「っ!!」」」」」
もういいって…何が…
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怜。(プロフ) - 優生さん» ありがとうございます!😭がんばります! (4月17日 21時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
優生(プロフ) - 応援してます、頑張ってください (4月17日 21時) (レス) @page40 id: 5de943fe2a (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - たむ。さん» 👍ありがとうございます😭 (4月15日 11時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 麻衣さん» 👍ありがとうございます😭 (4月15日 11時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - みづきさん» 👍コメントありがとうございます😭そう言っていただけるとすごく力になります! (4月15日 11時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2024年3月17日 18時