満身創痍 ページ9
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黒田坊side
その後、奴良組のほとんどが付いてきて、A様の墓石の周りに集まった。
その時点で皆、上を向いていた。
先程は、A様がいるということが衝撃的すぎて気が付かなかったが、A様の墓石の真上に大きな空間の切れ目があった。
この場にいる誰もがわかるほどに。
「これ…だな。
この向こう側に行けば、その世界に行けるのか?」
リクオ様が腕を組みながらそう言った。
『そうかもしれない…』
「姉貴…」
『…ん…?』
「俺たちも行くぞ」
『え?』
リクオ様は我らを見渡して、
「てめぇら、出入りだ」
その瞬間、雄叫びが響き渡った。
『リクオ…!みんなが世界を越えるなんてリスクが…!』
「俺には姉貴が満身創痍に見える」
『え?』
「体というよりかは、心が、だ」
『っ、』
「そんな状態で、一人で、戦場に送り出すわけにはいかない」
『…っ、リクオ。
ほんと…頼もしくなったね』
「当たり前だ。
俺が強くなるのはいつだって姉貴のためだ」
『ありがとう…
…わかったよ』
「だけど、一つ。
聞き分けてほしいことがある」
『…?なに…?』
「姉貴には俺らが合図するまで来ないでほしい」
『え!なんで…!?』
「今の姉貴に余計な心労をかけたくない」
『っ!』
リクオ様の言うことには皆同意だった。
何故なら、向こうは戦場。
どうなっているかわからない。
A様の大事な人たちが既に…なんてこともあり得る。
『…わかった。
あのね、でも、わたしもみんなに聞いてほしいことがあって…!みんな、絶対、』
「死なねぇよ。
姉貴が守り続けてくれた命だ。
絶対に粗末になんかしない」
『…っ、ほんとリクオ。
頼もしくなりすぎ』
「…待ってろ、姉貴」
リクオ様は少し微笑んで、A様に背を向けて先導した。
皆がそれについていく。
拙僧は少し後ろにいた。
「A様」
『…ん?』
「我々に任せてください」
A様は目を見開いた。
『……うん、頼んだ』
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マニ。(プロフ) - 怜。さん» ✉️。有難うございます!そちらのボードの方に返事送りました!ボード返事待ってます! (1月1日 20時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!嬉しいです!私でよければ! (1月1日 20時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 怜。さん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています (1月1日 18時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - みちゃきさん» コメントありがとうございます😭嬉しいです! (12月11日 13時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
みちゃき(プロフ) - 番外編のお話楽しく読ませて頂きました。 (12月11日 8時) (レス) id: 11e4934a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2023年11月3日 23時