地獄の始まり * ページ26
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Aside
気がつけば、ベッドに両手両足を繋がれていて、首には身に覚えのないネックレスを付けられていた。
「A、起きたかい?」
その声が近づき、ギシッと音を立ててベッドに座った。
一応、父親だ。血縁上の。
親が呪詛師だったなんて、反吐が出る。
『なんなの…これ』
「ついにこの時が来てしまったようだねぇ。
思いの外、純粋に育ってくれたからいつ伝えようか迷っていたよ」
『だから、どういう意味…』
「だから、君を育てていたのは、呪霊に献上するため」
『…え?』
「僕たち家族は一度、呪霊に襲撃されたことがあってね。そのとき契約したんだ。
人間の少女を献上するかわりに、僕たちを襲わないって」
『人間の少女を献上…
ちょっと何言ってるかわからない』
「あぁ、これだからバカは。
理解力がない。
わかりやすく説明してあげよう。
ここ十数年、ニュースで報道されてる連続少女誘拐事件があったよね。それの首謀は私たちなんだよ」
『…』
「あぁ、バカすぎてまだ理解できない?」
ゲラゲラ笑う声がだんだん遠くなって、体にかかる重力が何倍にもなって、ベッドに沈み込んでしまいそうな感覚だった。
こいつらクソだ…
「君を連れてきたのは、まぁ保険だよ。
定期的に献上しなければならないんだけど、それが途切れてしまった時のためのね」
『…連れてきた?』
「児童保護施設から、物心がまだついてなさそうな君を連れてきたんだ」
『…っ、』
よかった…
せめてもの救いだった。
コイツらと血が繋がった本当の家族じゃないんだ。
「でも、よかったよー
意外と肉付きがよくなって」
そう言いながら、私の胸部や臀部を触ってきた。
『…!…は…?』
驚きすぎて、一瞬動けなかったが、すぐに体を捻らせてずらした。
「まぁ、とりあえず。
彼に遊んでもらってくれ」
そいつが部屋の外に出た瞬間、入れ替わりで人型の呪霊が入ってきた。
見ただけでわかった。
コイツ…そっち系の呪いだ。
「フフフ、カワイガッテアゲルヨ」
これが地獄の始まりだった。
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怜。(プロフ) - コーンクリームコロッケさん» コメントありがとうございます!そんなふうに言っていただけるのすごく嬉しいです! (11月29日 23時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - サイコーすぎて泣いた…… (11月29日 8時) (レス) @page47 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 真さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです😭😭無事に完結できました!ありがとうございます! (8月21日 23時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
真(プロフ) - これからの更新が楽しみで仕方ないです!!!!!これからも頑張って下さい!!!! (8月21日 1時) (レス) @page46 id: dec522902b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2023年8月2日 23時