訃報 ページ21
.
『何してんだリクオ』
「悪い…姉貴」
Aはゆらの兄たちの方を一瞥する。
『……花開院家か…』
するとAは急にしゃがみ込み、地面に掌を当てた。
なにか黒いものを引き摺り出す。
『…なんだ…これは？
お前の…式神か…？』
そう言ってニヤリと口角を上げながら竜二の方を見た。
竜二は、念には念をと地面に式神を忍ばせていた。
だが、それに気付かれていたことに驚いた。
その式神はAの手のなかで暴れ回るが、抜け出すことができない。
彼女は式神を"持った"まま、竜二に近づいた。
魔魅流はそんな彼女を滅そうとしたが…
「やめろ！魔魅流！」
この妖は他とは違う。
策なしに突っ込んでいい相手ではない。
『こいつをどうして欲しい？』
Aは手に"持った"ものをちらっと見た。
「…別に、消したきゃ消せよ」
竜二は明らかに悔しそうな顔をしていた。
『ふっ、こいつの"入れ物"を出せ』
「…なん、だと？」
なんで、この式神を"入れ物"に入れていたと知ってる…
「どうする…つもりだ…？」
『返す』
彼女は即答した。
「はぁ？」
『私はまだこちらに危害を加えていないものを一方的に殺る趣味はない。
この式神はまだ私らに危害を加えていないからな』
「…！」
なんだ…こいつ。
妖怪にしては今までにいないタイプだ。
強いとかの話ではなく、理性的で知性的。
意味がわからない。
しかし…ここまで妖怪が集まってきてしまえば、勝ち目はない。
竜二は引かざるを得なかった。
だが、この二人はゆらに伝えることがあってきたという。
「訃報だ、ゆら。
秀爾と是人が死んだ」
「え…？」
「やつらが動き出した。
花開院家の宿敵、
京都の妖を束ねる大妖怪・羽衣狐
奴らは花開院家が京都に張っている八つ結界のうち二つを破った。
当主、花開院秀元は魔魅流を本家に加え、修行中の身であるお前まで呼び寄せた。
事態は思ったより悪い方向に進んでいるぞ。
ゆら、京に戻ってこい」
そう言い残して、二人はその場を去った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜。(プロフ) - ノンレムさん» ご指摘ありがとうございます！楽しんで頂けているようで私も嬉しいです！ (2021年11月9日 19時) (
レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム - 70の最後、名前の変換が出来てないみたいです！どんどん読み進めます...ｸﾞﾌﾌ (2021年11月9日 17時) (レス) @page23 id: 3af77494df (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 霧雲さん» あー！ごめんなさい！書き直しが思ったより進まなくてですね…できる限り早く出します！すみません！ありがとうございます！ (2021年10月17日 1時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
霧雲 - ぬら孫から見ようかと覗いてみたらパスあったので、パス解放次第読もうと思います。楽しみにしてます。 (2021年10月17日 1時) (携帯から) (レス) id: 8e18626139 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 名無し4585号さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！！頑張りますね！ (2021年10月12日 18時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜 | 作成日時：2020年3月3日 23時
