主が必要 ページ5
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「僕が君をなぜ水の妖怪にしようとしたか分かりますか?
それは、僕が雷の妖怪だからですよ」
『っ!!』
「クククッ、それにしても、滑稽ですねぇ…
水妖怪が水を恐れて、何もできないなんて」
そのとき、Aは思った。
そうだ、私は水妖怪だ、何を恐れる必要がある、水になれば逃げられる、と。
「あぁ、今、君。
そうだ、私は水妖怪だから恐れる必要はない、そんなこと思いませんでしたか?」
そう嘲笑った男に彼女は目を見開いた。
「残念でしたね。
その鎖…妖力を抑えるように細工されているんですよ。
上手く、水になれないでしょう?」
彼女は慌てて水になろうと試みた。
…が、男が言ったとおり、思うようにいかない。
彼女は顔を痙攣らせた。
「あ、そうそう、ほんとは、貴女とあの首のない男が一緒にいたときに貴女を拐いたかったんですけどね。
この鎖を準備するのと、この屋敷妖怪を懐柔するのに少し手間取ってしまいましてね」
『懐…柔…?』
「えぇ…この屋敷妖怪はね、主を必要としてるんですよ。
主を得て、やっと特異な妖力を持てるようになるんです」
『どういうこと…?』
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年8月13日 13時