背中合わせの光【鬼滅の刃 / 宇髄天元】

情報を得るために ページ33

.





"情報を得るために、近々、鬼と思われる者をわざと煽る。

だけどそうすれば、私自身は今後動きにくくなるかもしれないし、その場で戦闘が始まるかもしれない。

少なくとも文書での連絡は取れなくなる。



だから、天元は吉原に常駐しておいて。

雛鶴、まきを、須磨は、その見世の人たちがすぐに避難できるように準備して"





実は、天元、雛鶴、まきを、須磨に先にこのように伝えていた。


それは、三人から足抜けだといって姿を見なくなっている遊女がいる、と報告されていたからだ。

足抜けとは、前借り金を清算せずに雇い主のところから逃げてしまうという意味の言葉である…が、それにしては頻度が高すぎる。




何故、遊女がいなくなるのか。



Aは、蕨姫が鬼であることはほぼ確定だとずっとその行動に目を光らせていたが、京極屋に来てからは"鬼が人を殺す瞬間の"禍々しい気配を感じてはいない。



ならば、姿を消した遊女たちはまだ生きていて、どこかに捉えられていると考える方が妥当だ。

そもそも、こんなに人がいる中であからさまには動けないはず。



どのようにして遊女たちを拐っているのか、それが問題だった。



もちろん、Aほどの実力ある者なら、すぐに始末出来ないこともない。

だが、蕨姫を始末すれば、まだどこかで生きている可能性のある遊女たちを救う機会が失われるかもしれない。

それを危惧していた。



だからまず、遊女たちの居場所を探らなければならない。





…そして、もう一つ。

蕨姫の頚を簡単に斬ってしまうことへの言い知れぬ不安を、彼女は抱いていた。





−−−−−




そして…現在、蕨姫の部屋を訪れている。

蕨姫の帯は、見世内を移動する分には干渉してこないことが分かったからである。






蕨姫がどのようにして、離れた見世にいる遊女たちを拐っているのか。


監視のために、帯を渡してきたということは、帯が関与しているのだろう。


そうは思うものの、彼女はほんの少しでも他に何か情報が欲しかった。








.








外の廊下から、部屋の中を窺うと二人の声がする。


一人はこの部屋の主、蕨姫。

もう一人は、この見世の女将、お三津。








『…っ！』


なんで、女将さんがここに…？








.

移行します(修正2023.11.15)→←渡された帯

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す