胸のザワつき ページ26
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天元が部屋に入ると同時に煌びやかな着物を着たAの姿が目に飛び込んできた。
「…っ、」
目を見開いた天元は、口元を手の甲で軽く覆う。
普段見えていない頸が見えるということだけでも天元の動揺を十分に誘った。
すると、彼女はゆっくりと天元の方に振り向く。
彼女の色素の薄い瞳とバッチリと合い、逸らせない。
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「…すっげぇ…綺麗だ」
その言葉は意図せず、口をついて出てきたものだった。
天元の心からの言葉。
彼女の胸が騒ついた。
今まで、天元のことを本当に弟としか思っていなかったのに。
幼い頃どころか、赤ん坊の頃から知っているのに。
彼女が任務から帰ってきてからの天元はどこかおかしい。
彼女にとっては急に始まった天元のストレートな愛情表現に、胸のザワつきがおさまらない。
彼女は胸元の辺りの着物をきゅっと掴み、少し俯いた。
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「…A?」
その声が思ったより近くにあり、パッと顔を上げた。
案の定、天元は彼女を見下ろすくらいの位置に来ていた。
『っ!』
天元が一歩近づいてきた瞬間、
『うわっ!』
後退りしたその脚が着物の裾を踏み、後ろに倒れそうになる。
「おい…大丈夫か…?」
細い腕をパシッと掴んで軽く引き寄せ、そのとき、彼女の動揺が閾値に達した。
『…な、な、なんなの!?天元!!』
「なんなのってなんだよ…?」
そう言って天元は少し首を傾げた。
彼女は悔しそうな顔をして、
『…ち、ちょっと、三人娘!!』
三人の嫁たちの方を向いた。
「「「…?」」」
『ちょ、この男、しばらく出禁!!』
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怜。(プロフ) - Ach1ch1さん» こちらこそありがとうございます! (2021年10月5日 13時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - ありがとうございます(^^) (2021年10月5日 8時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - 白い世界へのパスワードを教えていただきたいです。 (2021年10月4日 20時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 有紀さん» 白い世界へのパスワードをお伝えしていたのですが、コメント欄にてそのパスワードが誰でも見れる状態が続いていたので、消させていただきました…!すみません!もし確認されていないようであれば、もう一度お伝えいただけると幸いです! (2021年9月21日 23時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初コメがこれで失礼いたします。白い世界のお話を読みたいのでパスワードを教えて欲しいです!よろしくお願いします! (2021年8月30日 19時) (レス) id: 6e9316e3b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年6月26日 15時