米問屋の萩屋 ページ31
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「…それでも、一応…
誰かというのは、聞いておきたい…
だめか…？」
俺は彼女の顔を覗き込んだ。
彼女は涙を浮かべ、潤んだ目を伏せて言った。
『…わかった。
その男、お金がないのは嘘だって言ったでしょう？』
「…ん？あぁ…」
『むしろ、その逆』
「え？」
『米問屋の萩屋…』
俺は全身に衝撃が走った。
『有数の大商人』
そこは…俺が三度、蔵に盗みに入ったところだ。
三度も盗みに入って、それでもそこまでの打撃を受けないほど金に余裕のある悪徳商人だ。
それでもなお、彼女のような人から金を搾り取るような真似をしているのか…！
殺人を犯してまで…！
今までに感じたことのないような怒りで全身が震えるのがわかった。
『…やめて』
彼女は今にも飛び出していきそうだった俺を止めた。
「なぜ…止める…？」
彼女に対しても声が低くなってしまった。
自分の身体が制御できないほどに血が沸騰している。
『その客に聞いたの…
あの男は…妖怪を大量に使役していると…』
「…妖怪…だと？」
『行ったら、そこで妖怪に殺されて終わってしまう…
だから、だめ…！』
彼女は腕を俺の腕に巻きつけ、グッと抑えた。
その彼女はギュッと目を瞑り、精一杯堪えていた。
そのとき、途端に冷静になった。
彼女がここまで辛うじて耐えているのに。
一番辛いのは、彼女なはずなのに。
なぜ、俺がここまで理性を失ってるんだ、と。
俺は俺の感情を抑えるように彼女を強く抱きしめた。
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そして…
その数日後、彼女の身請けが決まることになる。
｟回想・過去編終了｠
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怜。(プロフ) - 時雨さん» ほんとですか！？ありがとうございます！！もしかして水禍の華以外のお話も読んでくださったりしているのでしょうか…？ (2020年7月26日 22時) (
レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 前からずっと読ませていただいています！怜。さんのお話や書き方すっごくおもしろくて大好きです！陰ながら応援してます！ (2020年7月21日 20時) (レス) id: 5e501a5e16 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - シルバーウルフさん» ありがとうございます！(^^) (2020年6月30日 0時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 楽しかった。(o・ω・o)これからの更新も楽しみにしてるね。(o^O^o) (2020年6月29日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - これからの更新も凄く楽しみにしてる。(o・ω・o) (2020年6月26日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜。 | 作成日時：2020年6月23日 15時
