薔薇物語集《DIABOLIK LOVERSで長文!！》

黄薔薇8~シンデレラ（7の少し前）シュウ~ ページ11

《シュウside》

今日も親父やレイジの煩さから逃げてきた俺は、この城の一番端の部屋に入った。
この部屋は物置と思われているため、サボるのにはうってつけ。
ｶﾞﾁｬｯ
中に入ってみると風が吹き抜けており、快晴の空が見える。ついにレイジが片づけたのか。
ふと目線をベッドに向けると髪も肌も透き通った様に白い少女が寝ていた。顔の端には泥が付いており、その可愛らしさを台無しにしている。
(あいつがよく汚れたままで寝かせたな)
この部屋をレイジが片付けたとしたら、汚れたままの客人を城にいれるわけが無い。
それとも客人などではなく、レイジかあるいは失敗した兵士達の尻拭いの相手なのか。
それならば最近メイドどもが噂している門番が一番妥当か。
何にせよ可哀想な被害者なのは変わらないのか。


俺は同情したのか寝ている女の頬についている泥を掌(てのひら)で拭っていた。
その女の首もとからミルクの様な甘い香りがした。この香をもっと嗅いでいたい。
香りに誘われて髪をかきあげる。
そして牙を____









「うぅ．．．」


俺は正気に戻ったようにパッと手を離した。
(香りにあてられるなんてどうかしてる)
この女の血を吸ったらめんどくさいことになるのは理解できるはずだ。
ならば何故なんだ。


こいつは人間...だ。


自分の中に仄かに宿り始めた感情。そんなもの今はどうでもいい。知りたくもない。このままここで眠ってしまおう。





そこには、ベッドにもたれる王子と愛らしい少女が一組。





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