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黄薔薇13~シンデレラ~ ページ17

「すみません、穀潰しさん居ますか?」
私は重い扉を叩きながら穀潰しさんを呼んでみた。しかし、何度呼んでも出てこなかったので勝手に部屋にあがった。


すると..ソファーの上で腕置きに頭と長い脚を交互に置いて寝ている穀潰しさんがいた。
「穀潰しさん、居るなら返事して下さいね」
そう言いながら男の人の肩を掴み、体を揺する。
「んん...こっちに..来い」
そう言われて腕を引っ張られたまではお決りの展開だったが、私は見事にバランスを崩し、男の人の上に乗っかるどころかソファーの前で座り込んでしまった。
そんな私を気だるげに見下げ、“あんたやっぱり 馬鹿なんだな”と念を押す様に言われれば、私だって反撃の一つもしたくなる。
「穀潰しさんが腕を急に引っ張ったのが原因です!」
「...静かにしろ..よ俺は今寝たいんだ。穀潰しって俺を怒らせて血を吸ってもらいたいのか?」
私は言われて我にかえる。
(血を吸うとは?)
私の困惑も目に止めず、“早く血を吸わろ”とでも言いたげに私をその青い瞳で射貫く。
「吸って欲しいなら...何をするか分かってるだろ?」
この大人な感じは何か危険な感じがした。
恐らくこの男の人は成人していないが、醸し出す雰囲気が尋常ではなく、色気がありすぎる。
私はこの感じに圧倒されて流されそうにはなるが、「穀潰しさんでは無いんですね。では、貴方のお名前は?」
間一髪のところで会話の軌道修正に成功した。
男の人は別に文句を言わず、只怠そうにしているだけ。
「シュウ..だけど。あんたもしかして俺のこと知らないの」
「シュウさん...うーん..この城で会うまでには聞いたことないですし...会ったことも無いと思いますよ」
私は腕組をして考えてみたが、何も思い浮かばなかった。
シュウさんは、考え込む様に目を合わせて
「知らないのか...珍しいな。血を吸うって言ってるのにあんたは逃げないの」
「シュウさん、吸血鬼ですよね」
「そうだけど。さっさと逃げたら」
怖いという感情の前に今迄たまに部屋に来て、落ち着く時間を過ごしたという事実だけが私の目の前に突きつけられた。
「怖い....何て思えません。抱き締められて眠るのは緊張しますけど...一緒にいた時間は嘘ではありませんから。私は今迄の時間でシュウさんから逃げる選択肢はなくなりました」
私は目一杯の笑顔で微笑み、シュウさんに抱きついてやった。シュウさんは意外な私の行動に目を見開きながらも抱き締めてくれた。
(......落ち着く)

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設定タグ:ディアラバ , 逆巻 , おとぎ話   
作品ジャンル:アニメ
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なわたか - 次回作楽しみにしてますね。 (2016年5月15日 0時) (レス) id: 6e403ba1b1 (このIDを非表示/違反報告)
なわたか - 面白いです!長文新鮮ですね。 (2016年5月9日 0時) (レス) id: 6e403ba1b1 (このIDを非表示/違反報告)
奈良田 - 面白かったです!更新楽しみしています。長文書くのは難しいと思いますが、頑張ってください! (2016年5月2日 2時) (レス) id: e46d3ac99b (このIDを非表示/違反報告)
枢花(プロフ) - はなんさん» そうなんですか!はい!更新頑張ります。 (2016年4月17日 17時) (レス) id: 07601baa8f (このIDを非表示/違反報告)
はなん - 面白かったです!私もシュウさん大好きなので更新待ってます! (2016年4月17日 2時) (レス) id: 9087ff15e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枢花 | 作成日時:2016年4月17日 2時

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