【HQ!!】1年5組の花巻さんは有名らしい 5【青葉城西】

第237話．真っ黒なお客さん ページ46

．




私は走る。



ちらほらと、廊下に出て出店作業をしている生徒達をすり抜けて。

目指すは1年5組……！！！








＿＿＿遡ること10分前＿＿＿




委員長に引きずられ、空き教室に連れてこられたかと思えば。




委「これに着替えて」




委員長の剣幕に逆らえずコクコクと頷いた私が渡された服を広げてみると…、





それはそれは真っ白なワンピース。

あ、秘宝じゃないよ？海賊王になるわけじゃないからね？



って、ふざけてる場合じゃないのよ。

着替えたのはいいのよ。

でも着てみたらノースリーブだし似合ってなくて普通に恥ずかしいのよ。




『ねぇ委員長。着たけど似合ってないから着替えてい…』




委員長の方に振り返るとそこには先程までいた委員長の姿はなかった。




『……！？
ちょ、委員長どこいった！？

〜〜〜っというか私の制服どこ……！？」




誰もいない教室で盛大な独り言を言った後、自分の置かれた状況をどんどんと理解してきた。






あれ…？
なんだか冷や汗が。




やられた…、まじでやられた。

なんとしてでも制服を取り返さねば…！(怒)




きっと委員長は教室だ。

でも私はこの姿をあまり人に見られたくない。



そのためには全力疾走……！！




『制服返せや委員長ぉぉーー…………！！！！』




空き教室から出て、ついつい気持ちが溢れ叫びながら走ると何人かの生徒に見られ私のバカヤロー！！！と思ったが優先順位は何より制服だ！！





「今のA、ちゃん……？？」

「なんかめっちゃ可愛い格好してなかった……？？叫んでる声はすげぇ野太かったけど…」

「走るの早すぎて残像にしか見えんかった」





もう既にちょっとバレてるのは気のせいだと思おう。









…………










そして冒頭に戻る。




教室までもう少し！待ってろ制服！！！と思った私は委員長を甘く見ていたことを後に後悔することとなる。



やっぱり委員長には勝てんのよ。
正直挑もうとした事すら馬鹿らしく思えてきたぐらい。





私は教室のドアをガラッと勢いよく開けた。






『…〜〜〜ｯ委員長！！この格好何！？てか私の制服どこやった！？』






まだ開店前の教室に、



＿＿＿＿＿＿真っ黒なお客さんがいることも知らずに。

第238話．にゃん→←第236話．歓迎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す