44話~風の子の来坊~ ページ45
胡蝶しのぶside
Aさんの今日の検査結果
どれも数値が異常なほど低い、よくもまぁこの状態で生きてこれたものですね……
彼女の保護者は一体今まで何をしていたんでしょう?
それに本人は知らない様ですが稀血……不死川さんとはまた別、いや寧ろ対極的な
一見すれば普通の血ですが、口に含んだ途端毒になる稀血
引き寄せる血ではなく鬼を壊す血
鬼の感覚を鈍らせる血、とでも言うべきでしょうか……さぞ苦労してきたでしょうに
筋力も体格も私よりも無い彼女は明らかに剣士には向いていない、それなのに何故あんなになるまで無理をしようとするんでしょうか
育て方を間違えたら直ぐに命が危険な程のAさんの体………
見ていられません…あんな病的な程白く小さな体で幾つもの鍛錬の後、傷跡が残っている
可哀想に……
それに彼女の左目、あの隻眼…あれはほとんど見えてないはず…何故そんな事に
……Aさんには、ここにいる間にしっかりと体を休ませてもらい適切な栄養を摂ってもらわなければ
私が、彼女をどうにかして守らなければ
ガラッ
あら、珍しいですね
胡蝶「こんな時間にどうしたんですか?姉さんなら今はもう寝ていますよ
不死川さん」
不死川「………………違ェよ」
診察所に入ってきたのは普段やたら滅多にここには来ない不死川さんだった
普段は隠の方々がどれだけ念を押しても来たがらない彼がここに、ということはきっとアレでしょうね
胡蝶「包帯と薬が切らしたんですね、少しここで待っていてくださいね
すぐに持ってきますので」
不死川「……………」
うんともすんとも言わない失礼な不死川さんに1度礼をして奥に行き包帯と薬を貯蔵している所へ行く
あの人、本当に人にどうこうされるの嫌いですよねぇ
医者としては本当にそーゆうのやめて欲しいんですが
…………あ、しまった
Aさんの検査結果、机の上に置きっぱなしでした
しかも開いたまま
………まぁいいでしょう、あの人興味無さそうですし
まずあの人が他人に関心を示すなんてことあるんでしょうかね?
まぁいいです、薬もきちんとありますし早くコレと包帯を彼に渡さなければ
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作者名:元薺(サイ)だった者 | 作成日時:2020年8月10日 11時