34話~不条理で理不尽~ ページ35
煉獄杏寿郎side
雲の呼吸
本来存在する筈がなかった呼吸、それは水の呼吸から派生されたと言われている
使い手は今までにたった一人しか現れていないと父上から聞いていた
その人物こそが元雲柱であり、九年前程に突如姿を消した伴田流という人物だった
しかし今、なんの偶然か
目の前に雲の呼吸を操り、挙句の果てに伴田流の弟子だと言う王生Aという名の少女が現れたでは無いか
よもやよもや……もしもこのことが真実なのであれば相当な事だぞ?この任務が終わり次第即座にお館様にご報告しなければ
貴女「そうだ炎柱様、夜についてなんですが」
煉獄「…む?何か作戦でもあるのか?王生少女」
貴女「作戦ではありませんが……夕暮れになったと同時に二手に別れましょう
炎柱様には表参道を挟んで東側の裏参道をお願いしたいのです
私は西側を捜索します」
煉獄「しかし君はまだ鬼殺隊に入りたてだ、ここら一体となると荷が重いぞ」
貴女「問題ありません、
それにこの任務には異能の鬼が出ると聞きました
もし対峙した時私が炎柱様の邪魔をしてはいけませんし、二手に分かれた方が発見するのが早い
見えない力に怯えるこの街の人達を早く安心させる為にも
被害をこれ以上出さない為にも例え体に穴が空いていようと鞭打って早急に始末するのが得策です
多勢を救えるのであれば私如きの命なぞ捧げるなんて簡単ですよ」
自然と、糸を引くかの様に不自然なくごく普通に
そう、自身の身を擲つ様な言葉を愛らしい笑顔のまま平然と言い放つ少女
否
この不条理で理不尽が蔓延るこの世界に言わされているんだ、王生少女は
本当なら王生少女の年くらいなら同性の友人と甘味を食べたり、世間話をしたり、学舎に通って日々を楽しく謳歌する年頃だ
なのに目の前の少女はさも当たり前かのように自身を擲つと宣言し、腰に刀を帯刀している
小さな手には潰れた硬いまめがいくつも出来ている
……あぁ、椿の花の様な君がそんな事を言わなければならないこの世界が酷く憎たらしい
煉獄「…分かった、ではなにかあった時は近所迷惑なぞ考えず大声で俺を呼ぶと良い
直ぐに駆けつける」
貴女「分かりました」
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作者名:元薺(サイ)だった者 | 作成日時:2020年8月10日 11時