30話~寒椿と梅ヶ枝餅~ ページ31
煉獄「姐さん店長、これは危険だ!」
店長「似合いすぎて、でしょ?まぁいいじゃなぁい!!こんなに可愛らしいんだし!!」
薄い紫の生地に薄桃色の椿模様、白い帯で結ばれた着物に身を包む王生少女は昨日見ていた彼女とは少し違って見える
白い肌がより白く見えるのは着物の色も薄いからだろうか
まるで少しでも目を離したら気づくと消えてしまう雲のように儚い姿だ
貴女「それでは鬼狩りに行きましょう!これで準備万端ですし!!」
背に回され包みに隠された日輪刀さえなければ
煉獄「これは……日が出ているうちは目を離せんな」
店長「うふっ!流石私ね!!!」
貴女(こんな上物……師範にこの姿を見せたら褒めてくれるんでしょうか?)
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in街中
煉獄「夜中まで時間はまだある、調査ついでに街観光でもするか」
貴女「街観光と言っても花街ですけど……甘味屋さんに行きません?
お土産も買いたいですし、甘味屋なら人も集まりやすいでしょう?良い情報収集場だと思いますが」
煉獄「それもそうだな!!ではここから近い甘味屋に寄るか!!」
人の多い花街の街道、逸れないように自身より幾分も小さく白い華奢な王生少女の手を握る
この人の多さで王生少女程の小柄な体が隠れてしまっては見つけ出すのに一苦労だろう
煉獄「この手を離してくれるなよ、王生少女」
貴女「はい、炎柱様」
ギュッと
俺の手を小さいなりにいっぱい握り締め返す事に安堵し、甘味屋へ向かい歩き出す
数歩、ほんの少しだけ俺の後ろを小さくカラカラと下駄を鳴らしながら歩く王生少女
歩幅が合わないのもまた愛らしいな
貴女「炎柱様は甘味で一体何がお好きなんですか?」
煉獄「うむ!さつまいもだな!!!」
貴女「炎柱様、それ甘味じゃない」
煉獄「む?……よもやよもやだ!!!」
暫く歩きながら人と人の間を通り抜けていると、気付くと少し開けた場所に出た
目の前には丁度良く甘味屋があった
煉獄「着いたようだな!!!王生少女は何を食べたいんだ?」
貴女「梅ヶ枝餅かカステラですね」
煉獄「梅ヶ枝餅は太宰府に行かないと無理だな!」
貴女「ですよね、知ってます」
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作者名:元薺(サイ)だった者 | 作成日時:2020年8月10日 11時