76話~歳には抗えない~ ページ28
貴女side
貴女「それでねそれでね!!月光さんに頼まれたんだ!
これって月光さんも私を信頼してくれてるって事かな?
あっそれとね?今度の冬休みには長太郎と若と一緒に神奈川の動物園と植物園行くんだ!すっごい楽しみでね、今三人で何から最初廻るかって話してるんだ
それとね…あとね
…………おばあちゃん、起きて」
燭台の蝋燭の火に照らされて、布団の中で静かに眠るおばあちゃん
血色の良かった暖かいおばあちゃんの肌は青白く少し冷たくなっていて
それがどうしようもない現実を私に突き付けてくる
今日、おばあちゃんが倒れた
帰ってきた時はまだちゃんと元気で学芸会でのお話も笑顔で、自分の事のように楽しく嬉しそうに聞いてくれてた
なのに、私と月光さんが食事から帰ってきてひさえおばあちゃんのところに戻った時
おばあちゃんは床に伏せって意識を失った状態で部屋にいた
お医者様からは歳による衰弱だって言われた
ガラッ
越知「A、今日はもう夜遅いし冷えてきたからそろそろ寝よう」
貴女「……はい」
たまたま今日はこの家に泊まることになった月光さん
言われた通りその場から立ち上がりおばあちゃんよ部屋から出て私達が何時も寝ている部屋へ歩き出す
何時もより冷たく感じる廊下
足を一歩ずつ出す度に私の中の何が壊れかけていくような気がしてどうしようもなく怖い
この家で唯一の支えで私の居場所、何時も私に優しくしてくれて今の私を受け入れてくれたおばあちゃん
分かっていたのに、受け止めたくないわがままな自分がまた腹立たしくもある
越知「悪く思うなよA
俺はひさえさんにお前を任されている、だからどんなときでもお前を優先する義務と理由がある
それにお前が体調でも崩したらそれこそひさえさんは悲しんで寝込んでしまうぞ」
貴女「分かってますよ……それに歳はもうどうしようもないですし、ちゃんと理解してる
あっそうです!今日の劇めちゃくちゃ格好良かったです!惚れ直しました!!」
越知「……そうか、ならば頑張った甲斐があったな」
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サヤ(プロフ) - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2021年6月19日 23時) (レス) id: 4f60a72d2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:元薺(サイ)だった者 | 作成日時:2021年3月3日 22時